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先発出場率が昨季の78.3%から20.8%に急降下!厳しい環境に置かれた2年目の秋山翔吾

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンは出場機会に恵まれない秋山翔吾選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【復帰後低打率が続く2年目の秋山選手】

 レッズの秋山翔吾選手が5月30日のカブス戦で2試合ぶりの出場を果たし、代打として1打席に立ち、四球を選んだ。この結果、秋山選手の現在の打率は.212のまま変わっていない。

 MLB移籍1年目の昨シーズンは新型コロナウイルスの影響による活動休止や短縮シーズンという不運が重なり、秋山選手本来の打撃を披露できず、打率.245と苦しいシーズンを過ごしていた。

 挽回を期して臨んだ今シーズンだったが、オープン戦で左太もも裏を負傷してしまい、開幕を無念の故障者リスト(IL)入りで迎えることになった。5月7日に復帰したものの、前述通り昨シーズンを下回る打率で推移している。

【復帰後出場機会が激減している今シーズン】

 復帰前に5月4日に開幕した3Aに回りリハビリ出場をしていたものの、わずか2試合だけ。すでに開幕から1ヶ月以上が経過し、すっかり実戦感覚が戻っているチームと歩調を合わせるのは簡単なことではなかったはずだ。現在の打撃低迷は、そうした影響があるだろう。

 だがそれ以上に秋山選手に重くのしかかっているのが、約1ヶ月間欠場している間に、秋山選手を取り巻く環境が昨シーズンとすっかり変わってしまったことだ。出場機会が激減しているのだ。

 これまで西武時代には、2015年から5年連続でフル出場を続けてきた秋山選手としては、日々打席に立ち続けながら打撃を調整してきたタイプだったはずだ。現在のような少ない出場機会の中で、打撃を上向かせるという作業に慣れているとは到底思えない。

 そうした環境の変化も、秋山選手の打撃を狂わせていると考えられる。

【主力選手が完全に固定された外野陣】

 出場機会が激減しているという現状を、的確に示しているのが先発出場率だ。60試合の短縮シーズンだった昨シーズンは、54試合に出場し、そのうち47試合に先発している。つまり先発出場率は78.3%で、ほぼレギュラークラスだった。

 ところが今シーズンは、5月7日に復帰以降チームは24試合を消化しているが、秋山選手の先発出場はわずか5試合に止まっている。その先発出場率は20.8%まで下がり、完全に控え選手扱いになっている。

 その原因は、秋山選手が欠場している間に、主力外野陣がすっかり固定されてしまったからだ。

 現在ナ・リーグ中地区4位に沈んでいるレッズだが、打線は好調だ。チーム打率は.245で、MLB7位(ナ・リーグ2位)ランク。さらに総得点数も245で、同9位(同4位)につけている。

 この打線を牽引する存在が、外野陣の3選手だ。まず右翼のニック・カステラノス選手は現在打率.359で、MLB首位を走る。それを2位で追っているのが、左翼のジェシー・ウィンカー選手だ。

 さらに中堅のタイラー・ナキン選手は、打率こそ.252に止まっているが、10本塁打(チーム4位)、33打点(チーム1位)を記録。カステラノス選手、ウィンカー選手とともに主軸を形成している存在だ。

 残念ながら彼ら3選手を押しのけ、秋山選手が入り込む余地はないというのが現状なのだ。

【今後も途中出場や代打起用がメインに?】

 これら主力外野陣に不測の事態が起こらない限り、秋山選手の先発出場は、彼らの休養による代替出場に限られてくるだろう。今後も途中出場や代打による出場がメインになっていきそうだ。

 そうした不慣れな出場パターンの中で打撃を上向かせていかないと、さらに先発出場から遠ざかってしまうことになる。

 すべては秋山選手にかかっている。果たしてこの負のスパイラルから抜け出すことができるだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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