負傷から復帰した2012年NBAドラフト指名のジャスティン・ハーパーが京都巻き返しのカギを握る?!

年明けからようやく戦列復帰した今日のジャスティン・ハーパー選手(本人撮影)

【B1リーグが混乱なくリーグを再開】

 3週間のバイウィークを終え、B1リーグが先週末からリーグが再開された。

 バイウィーク中は新型コロナウイルスの影響でオールスター戦が中止となり、さらに全20チーム中11チームが本拠を置く7都府県が緊急事態宣言下に置かれるなど、リーグ再開に向け不安要素が揃っていたが、大きな混乱もなく全20試合を実施している。

 改めてリーグ及びチーム関係者に対し敬意を表するとともに、特に緊急事態宣言下ながら宣言前とほぼ変わらぬ観客を動員し、円滑に公式戦を運営した宇都宮、三遠、名古屋D、京都の的確な対応と試合運営に賛辞を送りたい。

 取り巻く環境はまだまだ厳しい状況にあるが、ぜひリーグ一丸となってシーズンをやり抜いて欲しいと願うばかりだ。

【京都が琉球相手に1勝1敗のタイに】

 前述通り、京都も緊急事態宣言下の本拠地に西地区首位タイ(再開前の時点)の琉球を迎え撃ち、2試合ともに終盤までもつれ込む大接戦を演じた末、86-89、87-85と1勝1敗のタイに持ち込んでいる。

 今シーズンの京都はHCの交代と選手の大幅入れ替えもあり、ほぼ新体制でシーズンに臨んでいた。そのため開幕から苦しい戦いを強いられ、再開前は7勝20敗に西地区の下位グループに甘んじていた。それだけに琉球と互角に戦った試合内容は、少なからずチームの自信に繋がったはずだ。

 今後チャンピオンシップ争いに加わるのは至難の業といえるが、シーズン後半戦の巻き返しに期待がかかるところだ。

【加入直後から長期離脱していた新外国人選手】

 今回の善戦は、バイウィーク中にしっかりチームとして調整してきた証でもある。だがその一方で、チーム構成上でもバイウィーク前には機能していなかった新戦力が加わっているのだ。

 それは、今シーズンから京都に加入しているジャスティン・ハーパー選手だ。彼はチーム合流直後に左腓腹筋筋断裂の負傷で長期離脱を余儀なくされ、年明けにようやく復帰したばかりの選手だ。

 シーズン開幕から小川伸也HCがリバウンドをチームの改善点として上げ続ける中、ハーパー選手はチームで最も高い208センチを誇る長身選手なだけに(ハーパー選手が離脱中216センチのベンジャミン・ローソン選手が在籍していたが現在はFE名古屋に移籍)、京都にとって大きな戦力が戻ってきたことになる。

 小川HCによれば、バイウィーク中もハーパー選手と他の選手との合わせ確認と、ディフェンスの強化にほとんどの時間を費やしたという。

【実績十分の2012年ドラフト指名選手】

 31歳のハーパー選手は2012年のドラフトでキャバリアーズから2巡目指名を受け、シーズンを通してNBAに定着できなかったものの、3シーズンにわたりマジック、ピストンズ、シクサーズに所属し、公式戦22試合、プレーオフ1試合の出場経験を有している。

 またキャリアの多くをNBA下部リーグ(現NBAGリーグ)で過ごす一方で、イスラエルやフランス、イタリアなどの海外リーグに在籍した経験もあり、その実績は申し分ない。

 琉球に勝利した第2試合では14得点、7リバウンドの活躍をみせ、シーズン初のヒーローインタビューを受けると、「言葉が意味する通り、チームが勝つために何でもやるつもりだ。我々はチーム一丸となって戦うのが好きだ。自分もそんなチームにエネルギーをもたらしたいし、そのために最善を尽くしたい」と、ブースターに頼もしいメッセージを送っている。

【長身選手とは思えないシューティング・スキル】

 だがハーパー選手は、チームの大黒柱であるデイヴィッド・サイモン選手のようにゴール下を守り抜くタイプの選手とは言い難い。彼の最大の特長はNBAで主流になっている「ストレッチ4」に理想的な選手で、相手選手のミスマッチとスペースを利用してどこからでも得点が狙えるシュート力のようだ。

 残念ながら現在の成績(FG成功率35.9%)からは見えてこないが、ハーパー選手が10月にチーム合流後初めてユニフォームを着た試合で、試合前のシュートアラウンドでシュートを放つ姿と見て、そのシュートタッチの柔らかさから彼のシューティング・スキルが相当に高いことはすぐに理解できた。

 「これまでも5番ポジション(センター)でプレーした経験がある。自分はそうした選手たちからミスマッチを創り出し、上手くスペースを使い3点シュートを打てるタイプの選手だ。そうしてキャリアを積み上げてきた」

 ハーパー選手自身も「自分はシューター」と表現しており、また小川HCも「まだまだやれる選手」と評していることからも、今後チームシステムに馴染んでいけば、リバウンドのみならず重要な得点源としても期待できそうだ。

 ハーパー選手のプレースタイルが最大限に発揮されるようになった時、彼は京都で最大の武器になる可能性を秘めているように思う。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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