張本勲氏は認識できず? まさに賞賛に値する今シーズンの前田健太が見せるア・リーグ随一の安定感

ツインズの先発陣を支える投球を続ける今シーズンの前田健太投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【ネット上で広がった「マエケンは?」の声】

 9月20日朝の情報番組に出演した張本勲氏が、今シーズンのMLB日本人選手を総評し、「今年はダルビッシュくらいでしょ。あとは全滅だ。恥ずかしい成績だから、ちょっと頑張らないとダメだよ」と発言したことを受け、SNSは即座に反応し炎上した。

 これまでも同番組での張本氏の発言は事実誤認が多く、度々SNSを賑わせてきたが、今回もかなり事実からかけ離れた意見だったと言わざるを得ない。特にSNS上で挙がり続けた声が、「マエケンは?」だったように思う。

 ネット民の意見は至極当然で、今シーズンの前田健太投手は“ダメ”どころか、ダルビッシュ有投手と並び称されてもおかしくないくらいの活躍を続けているのだ。

【安定度を示す投手2部門でア・リーグ1位】

 まず前田投手が所属するツインズは、ア・リーグ中地区2位ながらすでにポストシーズン進出を決めているほど、好調を維持し続けたチームだ。

 そんなツインズの中にあって、前田投手は勝利数(5)こそ2位タイながら、防御率(2.52)、奪三振数(71)、投球イニング数(60.2)の投手主要部門でチーム1位にランクしている。

 この数字を見ただけでも、彼がツインズ投手陣を支える存在であったことが理解できるはずだ。

 実はそれだけではない。今シーズンの前田投手の安定感は、リーグ屈指なのだ。

 投手の安定感を示す指標であるWHIP(1イニングあたりの被安打+与四球数)は0.76で、なんとリーグ1位。さらに被打率.167も同じくリーグ1位なのだ。しかもこの2部門に関しては、ダルビッシュ投手をも上回っている。

 今シーズンは新型コロナウイルスの影響で、両リーグともに地区内チームだけの対戦に留まっており、ナ・リーグ中地区のカブスに在籍するダルビッシュ投手と前田投手は、まさに同じチームと対戦してきた。

 その中で前田投手はダルビッシュ投手に優るとも劣らない成績を残していることを、決して無視できるものではない。

【米スポーツ専門サイトではサイヤング賞候補の1人に】

 これだけの成績を残しているのだから、今シーズンの前田投手は米国できちんと評価されている。

 ちょっと古い記事になるが、スポーツ専門サイトの「the Score」では9月16日付けで、今シーズンのサイヤング賞予想記事を公開している。

 この記事では両リーグのサイヤング賞候補をそれぞれ5人挙げ、ランキング形式で紹介しているのだが、前田投手はア・リーグの3位に入っているのだ(ちなみにダルビッシュ投手はナ・リーグの3位)。

 むしろ前田投手は、リーグ屈指の投手との最大級の評価を受けているといっていい。

【筒香選手も本塁打&打点でチーム2位】

 さらに張本氏の意見に異議を唱えると、レイズの筒香嘉智選手も決して卑下するような成績ではない。

 確かに打率こそ1割台に低迷しているものの、本塁打数(8)と打点(23)はチーム2位もしくは2位タイにランクしている。

 今シーズン10年ぶりの地区優勝を目前にしているチームの中にあって、貴重な得点源になっているのだ。これは十分に評価されるべきではないだろうか。

 とにかく事実誤認の意見が世に拡散され続ける限り、これからもネット民は声を挙げ続けることになるだろう。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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