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ダルビッシュ最大のライバルが故障者リスト入り! サイヤング賞争いの行方はどうなる?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
チームから10日間の故障者リスト入りが発表されたマックス・フリード投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【フリード投手が無念のIL入り】

 ブレーブスは現地時間の9月8日、マックス・フリード投手が左腰椎部の筋肉痙攣のため10日間の故障者リスト(IL)入りしたと発表した。

 米メディアによれば、今回のIL入りはフリード投手が登板した翌日の9月6日付けでの措置となり、早ければ9月16日には復帰できることになる。チームのアレックス・アンソポウロスGMもあくまで軽傷だと説明し、9月16~18日には復帰できる見通しを明らかにしている。

 今シーズンのフリード投手はここまで9試合に先発し、6勝0敗、防御率1.98を残し、ダルビッシュ有投手とともにサイヤング賞の有力候補と目されていた。

 今回のIL入りにより最低1度の先発が回避されることになり、短縮シーズンで争われている賞レースに、少なからず影響を及ぼすことになりそうだ。

【混戦必至なサイヤング賞争い】

 すでに日本でも報じられているように、ここまでのダルビッシュ投手は勝利数(7勝)、防御率(1.44)でナ・リーグ1位に君臨。いわゆる投手の主要3部門といわれる残り1つの奪三振数(63)でも、リーグ5位にランクイン。8月の最優秀投手(MVP)にも選出されており、日本人初のサイヤング賞獲得に向け視界はかなり良好だ。

 そんなダルビッシュ投手の最大のライバルだと思われていたのが、フリード投手だった。IL入りするまで、勝利数(6勝)が同2位タイ、さらに防御率(1.98)同3位、奪三振数(47)同16位──と安定した投球を続けていた。

 フリード投手のIL入りにより、賞レースでダルビッシュ投手が一歩リードした感はある。だが決して盤石とはいうわけでない。勝利数や奪三振数はあくまで積み重ねていくものだが、防御率の場合、短縮シーズンで実施される今シーズンは1試合の失敗で大きく上下してしまうリスクがある。それだけシーズンを通して完璧な投球が求められている。

 また最近では、投手を評価する上で投手主要3部門以外にも様々な指標が利用されるようになっており、そうした指標から賞レースを見ると、今も混戦模様が続いている。

【WARでダルビッシュ投手はリーグ3位に】

 そんな指標の1つである「Wins Above Replacement(WAR)」は、野手と投手を一緒にしてチームへの貢献度を示す指標として米メディアでは広く重用されるようになっている。

 そのWARによれば、ナ・リーグ投手部門の上位3人は、1位フリード投手(2.8)、2位ザック・ギャレン投手(2.6)、3位ダルビッシュ投手(2.4)──となり、ダルビッシュ投手は逆に2投手を追う立場になってしまう(資料元は「BASEBALL REFERENCE」)。

 2位に入っているギャレン投手は、間違いなくダークホース的存在といえる。勝利数こそ1勝に留まっているが、防御率(2.29)が同7位、奪三振数(60)も同8位とリーグ上位にランクイン、特に投球イニング数は、55.0イニングで同2位に入るなど、勝利数以外は先発投手としてチーム貢献度が非常に高いのが理解できる。

 いずれにせよダルビッシュ投手が、賞レースで先頭を走っているのは間違いないところだ。残りシーズンで登板できるのは、順調にローテーションを回っていけば9日のレッズ戦を含め4試合。残り試合でどんなラストスパートを見せてくれるだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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