今シーズンは日本人メジャーリーガーの「肉声」を滅多に聞けない? MLBが明らかにした厳格な取材規制

今シーズンはオンライン会見以外で大谷翔平選手の声を聞くことができない?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【各チーム広報が今季のメディアガイドラインを発表】

 7月1日のサマーキャンプ(MLBでは再開予定のキャンプを正式に「サマーキャンプ」と表現するようになった)集合日を前に、各チーム広報が今シーズンの取材法に関するメディアガイドラインを発表した。

 MLBが発表したメディアガイドラインを元に、各チームによってそれぞれの事情に合わせて多少の違いはあるものの、今シーズンは球場入りできるメディアの数は制限され、オンライン会見でしか取材ができないことが判明した。

 通常時でもメディアの数が多いヤンキースなどでは全メディアが球場入りするのは不可能で、田中将大投手の盗難試合では日本人メディアの取材人数も相当に制限されることが予想される。

【シーズンパスは無効で1日の取材許可数は35人まで】

 現時点でエンゼルス、アストロズ、インディアンズから送られてきたメディアガイドラインを確認したところ、主な取材規制は以下の通りになっている。

●メディアパス

 今シーズンに限っては、MLBやBBWAA(全米野球記者協会)、チームが発行するシーズンパスは一切無効となり、試合開始24時間前までにデイリーパスを申請し、申請がパスしたメディアのみ球場入りできる。

 MLBのガイドラインにより、1日のデイリーパス発行数は35に制限されている。ただしデイリーパスはBBWAA会員が優先される。

●球場入場者の階層分け

 球場入りできる人物は厳格に階層分けされ、メディアは「ティア3」に分類される。選手、コーチ、メディカルスタッフは「ティア1」に分類され、メディアはティア1との直接的な接触を一切禁じられ、ティア1が使用するエリア(クラブハウスやベンチ、グラウンドを含む)への立ち入りも禁止される。

 もし違反が確認された場合は、その場でデイリーパスを没収される。

●取材場所および滞在時間

 デイリーパスを受け取ったメディアは、球場内を自由に移動することができず、指定されたエリア(プレスボックスなど)に留まらなければならない。

 メディアは試合開始4時間前から球場入りでき、試合後インタビュー終了後90分以内に休場を離れなければならない(サマーキャンプは別)。

●試合前後のインタビュー

 チーム広報により試合前と試合後にインタビューセッションが設けられるが、すべてオンラインで対応する。インタビューしたい選手がいるメディアは事前に広報にリクエストしなければならない。

 例えばエンゼルス広報の場合、基本的に試合前は監督及び翌日の先発投手、試合後は監督、その日の先発投手、活躍した選手をセッションに呼ぶことを想定しているようだ。

●試合前練習

 前述通りティア3に分類されるメディアはグラウンドには近寄れないため(スチールカメラやTVクルーは指定エリアのみ入れる)、試合前練習はライブストリーミングで配信され、メディアはその映像をチェックすることになる。

 日本人投手がブルペン投球を行った場合も、ライブストリーミングを使って球数や球種をチェックしなければならない。

【日本人メディアの取材は極めて困難?】

 如何だろう。今シーズンのMLB取材に関しては、メディアは一切選手、監督、コーチらに直接取材できず、すべてチーム広報を通じてオンライン会見で対応しなければならない。

 これは日本人メディアにとって、相当に厳しい取材現場になりそうだ。

 というのも日本人メディアは当然のことながら、各チームに所属する日本人選手を取材することを目的にしている。選手たちの日々の行動を確認し、直接話を聞くことで記事にしているのだ。それが制限されることになれば、報じるネタも少なくなってしまうのだ。

 打開策としてはチーム広報に交渉して、オンライン会見に登場しなくても日本人選手のコメントを出してもらえるようなスタイルを構築するしかないだろうが、それでも今まで通り個別に話を聞くことができるわけではないから、他メディアとの差別化はできにくくなる。

 だが制限を受けるのは米メディアも同じだ。彼らもクラブハウスやグラウンドで取材する権利を奪われてしまったのだ。彼らにとっても今シーズンは、相当に厳しい取材になるのは間違いないだろう。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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