交渉打ち切りを表明! 選手会がMLBに三行半を突きつける声明を発表

MLBのシーズン実施最新案を拒否する声明を出した選手会のトニー・クラーク専務理事(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLBからの最新案に即反応した選手会】

 現地時間の6月12日にMLBからシーズン実施に関する最新案を提示されていた選手会が、回答期限の14日を待たずに最新案を拒否する声明を発表した。

 選手会のトニー・クラーク専務理事名義による今回の声明は、単に最新案を拒否することを明らかにしただけでなく、かなり衝撃的な表現を交えMLBに三行半を突きつけるような内容で、選手会からの最後通牒ともいえるものだ。

 やや長文だが、この場で全文を紹介しておくべきだと思い、以下に記しておく。

【これらの努力は聞こえない耳の前では無駄】

 「選手たちはプレーしたい。それが我々であり、我々がしたいことだ。

 3月以来、選手会の姿勢はずっと明らかなように、少しでも早く、可能な限り安全を確保したかたちでシーズンを開幕し、少しでも多くの試合を実施することを最優先に考えてきた。それを実現するための手段として、選手たちは数十億円に及ぶ金銭的譲歩を受け入れた。その上で度重なるメディアへのリークと間違った方向に進めようとする動きに直面しながら、我々は業界に新たな収入をもたらす提案も行ってきた。我々の提案は、オーナー、選手、放送局、ファンそれぞれに有益なものだった。

 これらの努力は聞こえない耳の前では無駄だったことが、今明らかになった。最近になってオーナーが球団を所有することに有益性がないと批難し、コミッショナーは繰り返し圧力をかけ、選手たちが更なる金銭的譲歩を受け入れなければ、極端にシーズンを短縮する姿勢を見せている。それに対する我々の回答はまったくブレておらず、これ以上の金銭的譲歩は不当なもので、根本的な部分で選手にとって不公平であり、少しでも長いシーズンを実施したいという熱意を主張し続けてきた。特に最近報道されたMLBの放映権契約合意を考慮し、我々の姿勢は今も変わることはない。我々は数週間前にリーグ側にそうした情報(放映権契約)の提示を求めていたが、何の報告もなかった。

 結論として、残念ながらリーグ側とのこれ以上の対話は無意味なように思える。もう仕事に戻るべき時だ。いつ、どこで(開幕するの)かを我々に伝えればいい」

【副コミッショナーの手紙が火に油を注ぐ結果に】

 声明の全文を読んでもらえば明らかなように、選手会はもうMLBに新たなシーズン実施案を提案する意思もなければ、これ以上の協議もするつもりはないことを明確にしている。選手会として、交渉打ち切りを宣言したようなものだ。

 なぜ選手会がこんな強硬姿勢を打ち出したかといえば、すでに本欄でも報告しているように、MLBから提示された最新案に合わせて、副コミッショナーから選手会に送付された手紙に他ならない。

 これまでの選手会の主張を真っ向から否定し、更なる金銭的譲歩は合法的なものだと断言した副コミッショナーの手紙は明らかな挑発行為で、選手会の怒りの火に油を注ぎ込んだようなものだった。

 さらに声明にあるように、13日になってMLBがターナー・スポーツとの間で10億ドル(約1070億円)規模の放映権契約に合意したと報じられており、そうした情報も選手側に提供されていなかったことが、さらに選手会の不信感を助長させてしまったようだ。

【選手会も手紙を返送】

 またESPNのジェフ・パッサン記者によれば、選手会は今回の声明とは別に、MLB宛てに手紙を返信しているという。

 こちらの内容もかなり過激なものだ。

 「もし今後も身勝手なシーズン短縮を押しつける姿勢を続けるのであれば、我々は改めて何試合を実施するつもりなのか、選手たちはいつ、どこに集合すべきなのか、我々に通達するよう求める。選手とファンを宙ぶらりんの状態に放置しておくのは公平ではない。

 我々はそちらのプランを、15日までに我々に通達することを要求する」

 これで交渉のボールはMLBに委ねられた。MLBの回答がすべてのカギを握っている。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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