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本拠地開催それとの中立地開催? 各リーグで対応が分かれるものの根本にあるものは選手とその家族愛

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
NBAのシーズン再開場所として有力視されているウォルト・ディズニー・ワールド(写真:ロイター/アフロ)

【シーズン再開に向け動き出した各リーグ】

 米国主要スポーツの先陣を切り、ストックカーレースのNASCARが5月17日から無観客試合ながら活動を再開し、無事に2レースを実施することに成功した。

 現在はNASCARに追随するかのように、各リーグがシーズン再開に向け動き出している。現時点でメディア報道の域を超えていないが、米国の4大リーグの現状は以下の通りだ。

 ●NFL:すでに発表した日程通りシーズンを開幕する方向で調整中。まずは6月から開始予定のミニキャンプを全チームが平等に実施できるよう、各チームの練習施設が使用可能になるか州政府の動向を確認している。

 ●MLB:球団オーナーから承認されたリーグ側のシーズン実施案をもとに、MLBと選手会が協議を行っている。現時点で合意に達していない。

 ●NBA:コミッショナーが選手たちとオンライン・ミーティングを実施し、意見交換を行う。6月上旬にはシーズン実施案を選手側に提出する予定。

 ●NHL:残りシーズンの公式戦を取りやめ、7月から現時点での順位をもとに上位24チームによるプレーオフを実施することで調整中。

【中立地開催か、それとも本拠地開催か?】

 これら4大リーグがシーズン実施を検討する中で、その対応が真っ二つに分かれているのが開催場所だ。

 NBAとNHLがチーム、選手を開催場所に集め、ホーム&アウェイとは関係のない中立地での開催を目指している一方で、NFLとMLBは通常通り本拠地球場、スタジアムを使っての開催を目指している。

 すでに本欄でも報告しているように、新型コロナウイルス対策の政府最高責任者である、国立アレルギー感染症研究所所長のアンソニー・ファウチ博士が、各所でシーズン再開に向けて提言を行ってきた。

 開催場所という面では、NBAとNHLがファウチ博士の意見を尊重しているものの、NFLとMLBは感染リスクを負いながらも本拠地再開を目指していることになる。

 なぜこうした差が生じているのだろうか。

【MLBも中立地開催を検討していた】

 これまでの報道を見る限りでは、フロリダ単独、フロリダ、アリゾナ2カ所、フロリダ、アリゾナ、テキサスの3カ所での開催案が次々に登場するなど、MLBも中立地開催を検討していたのは間違いないだろう。

 だが最終的に球団オーナーから承認された実施案では、通常の本拠地開催を選択することになった。そこにはリーグとしての事情があったからのようだ。

 あるチーム関係者から確認したところによれば、中立地開催だとシーズン中の選手たちは家族と離れ隔離生活を送らなければならず、家族を持つ選手たちから受け入れてもらえなかったというのだ。

 ということでMLBとしては、家族と一緒にいたいという選手の意見を尊重するには本拠地開催を選ぶしか道はなかったというわけだ。

【NBAがディズニーを開催有力地に選んだ理由】

 実はNBAもかたちこそ異なるが、MLB同様に選手を第一に考えシーズン再開に向け調整を行っている。NBAはシーズン再開後も選手たちが家族と一緒にいることを認めた上で、家族を含めて宿泊できる部屋数、ホテル数を誇る中立地での開催を目指しているのだ。

 現在のメディア報道によれば。その最有力候補としてフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)の名前が挙がっている。世界最大級の観光リゾートであるWDWは、施設内に多くの公認ホテルが揃っている他、アリーナなどのスポーツ施設も完備しており、NBAにとって理想の環境が整っている。

 各チームの構成人数が限定されているNBAの場合なら、こうした理想の中立地を探すことができるが、NBAよりはるかに大所帯のMLBでは、安全体制を確保しながらチームの他に彼らの家族をも収容できる宿泊施設が揃った中立地を探すのは不可能に近いと言わざるを得ない。

 つまり各リーグで対応の違いはあっても、目指すべき方向はまったく同じだということだ。それぞれのリーグが家族を愛する選手たちを第一に考え、シーズン再開を目指しているという点は認識して欲しいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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