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2人のベテラン右腕投手がMLB復帰に意欲! 変則シーズンが必至な今季は彼らに追い風?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2年ぶりのMLB復帰に意欲を見せるバートロ・コロン投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【2人のベテラン右腕が相次いで現役復帰に意欲】

 未だMLBと選手会の間で合意がみられず、2020年シーズンの開幕が不透明な中、奇しくも2人のベテラン右腕投手が、今シーズンの現役復帰に意欲を見せているようだ。それぞれ別々の米メディアが報じている。

 まずESPNが報じたところでは、バートロ・コロン投手が、あともう1年MLBでやりたいとの希望を明らかにし、またミシガン州向けの情報発信サイト、MLIVEは、フランシスコ・ロドリゲス投手が今もMLB復帰を目標にしていると報じている。

【イチローの現役最年長の座を争った46歳右腕】

 コロン投手といえば、ここ数年はイチロー選手と現役最年長の座を争ってきた存在として本欄でも度々取り上げてきた選手だ。

 彼は45歳まで投げ続けるという亡き母との約束を守るため現役続行に固執し続け、念願通り45歳を迎えた2018年シーズンまで現役を続けることに成功した。MLB在籍21年で通算247勝は、中南米出身投手で歴代最多を誇る。

 これで心置きなく隠退生活を迎えるのかと思いきや、2019年も現役を続行したいとの希望を表明。チームからのオファーを待ち母国ドミニカで練習を続けていたが、結局オファーが届かずMLBのマウンドに戻ることができなかった。

 だが今月24日に47歳になるコロン投手の現役を続けたいという願いは、今なお衰えていないようだ。ESPNのインタビューに以下のように答えている。

 「昨年(現役を続ける)チャンスがあると思っていた。しかしそれが実現しなかったことで、今年はさらに可能性は小さくなっているのは理解している。自分は年齢を重ねる一方で、どんどん若い投手が登場してくる。その分チームは自分を必要としなくなる。

 それでも機会があるなら、自分はどこのリーグであろうとも、どこにでも行って投げるだろう。MLBのチームでベテラン投手を必要としているのなら、自分はいつでも準備できている」

 ESPNの記事を読む限りでは、コロン投手はどこでも投げるという一方で、メッツに対して特別な感情を抱いており、できることならメッツで現役生活を終えたいという希望も明らかにしている。

【年間セーブ数記録を保持する通称K-Rod】

 ロドリゲス投手もコロン投手同様に、MLBで一時代を築いたリリーフ投手だ。

 特にエンゼルス時代の2008年シーズンに62セーブを記録し、1990年にボビー・シグペン投手が記録していた年間セーブ記録(57)を塗り替えることに成功した。

 当時のロドリゲス投手は伝家の宝刀スライダーを武器に絶対的なクローザーとして君臨し、強打者から次々に三振(公式記録で「K」と表示)を奪うことから、アレックス・ロドリゲス選手の愛称「A-Rod」にひっかけ、「K-Rod」と呼ばれファンに親しまれた。

 今年1月に38歳になったロドリゲス投手は、2017年シーズンを最後にMLBのマウンドから遠ざかっているが、それ以降も現役を続けており、昨シーズンはメキシコリーグに在籍していた。

 そんなロドリゲス投手が母国ベネズエラのジャーナリストのインスタ・ライブに出演し、今もMLBに復帰することを目標に掲げていることを明らかにしている。

 「それ(MLBに復帰すること)が目標だ。年齢を含め自分が置かれた現実があるものの、あくまでその目標に変わりはない。故障や好不調を経験し、自分の野球人生は少し停滞してしまった。だが自分には確信がある。自分は必ずやり遂げられると思っているし、その意欲が強くなっている」

【変則シーズンはベテラン投手に追い風?】

 両投手ともに、それぞれが再びMLBに戻ってくることを楽観視しているわけではないし、やはり相当に厳しい道のりになるだろう。

 だが未だMLBと選手会が同意できていないながらも、すでに2020年シーズンが変則シーズンになることは確定している。

 短縮シーズンながらダブルヘッダーを含め過密日程になることが確実で、出場ロースターの拡大が検討されている通り、各チームともに先発、リリーフ双方において、通常より多くの計算できる投手を必要としている。

 さらにシーズンが短くなることで、高齢のコロン投手やロドリゲス投手でもシーズンを通してコンディショニングを維持しやすい面もある。彼らの経験を欲しがるチームが現れる可能性は決してゼロではないように思う。

 果たして両投手が、再びMLBのマウンドに立つ姿を目撃できるだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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