阪神・淡路大震災25周年を胸にリーグ連覇を目指す神戸製鋼のチーム団結力

日本代表選手同士の対決でファンを盛り上げた神戸製鋼対サントリー戦(筆者撮影)

【満員のファンを集めた神戸製鋼対サントリー戦】

 トップリーグはシーズン第3節が行われ、昨シーズンの王者神戸製鋼が地元神戸で、リーグ2位のサントリーと対戦した。

 昨シーズンの決勝戦の再現ということもあり、会場となったノエビアスタジアム神戸には観客席を埋め尽くすファンが集結した。

 試合後中島イシレリ選手が「上(の観客席)までいっぱいになったのは初めて」と驚きを隠さなかったように、この日の観客数は2万6312人を記録。同スタジアムを本拠地にする、Jリーグのヴィッセル神戸の2019年の平均観客動員数が2万1491人ということからも、どれだけのファンが会場に足を運んだのか理解できるだろう。

ノエビアスタジアム神戸の観客席を埋め尽くすファンが集結(筆者撮影)
ノエビアスタジアム神戸の観客席を埋め尽くすファンが集結(筆者撮影)

 こうした盛り上がりは、改めて昨年のラグビーW杯も盛り上がりが今も日本国内でラグビーの関心が高いことを裏づけている。中でも神戸製鋼の観客動員は、ずば抜けて好調でもあるのだ。

 この日もファンのほとんどが神戸製鋼のファンだった。バックスタンドにサントリーの応援団が一角を占拠したものの、ほぼ9割方の観客席を神戸製鋼の赤いフラッグが埋め尽くした。

 第3節終了時点でリーグ全体の平均観客動員数は1万2305人だが、神戸製鋼は今回のサントリー戦のみならず、同じく神戸で行われたキャノンとのシーズン開幕戦でも2万3004人を集めており、その人気の高さを伺わせている。

【日本代表選手同士の激突にファンも熱狂】

 試合自体もファンの期待を裏切らない熱戦となった。

 神戸製鋼、サントリーともにW杯の日本代表選手が3人ずつ所属し、さらに神戸製鋼にはニュージーランド代表のブロディ・レタリック選手、サントリーにもオーストラリア代表のサム・ケレビ選手が新加入する豪華布陣。そんな彼らがW杯に負けない熱いプレーを披露したのだから、ファンが熱狂するのも当然だ。

グランドでは日本代表選手同士の熱い戦いが繰り広げられた(筆者撮影)
グランドでは日本代表選手同士の熱い戦いが繰り広げられた(筆者撮影)

 そして両チームともに死力を尽くしたプレーの末、後半で抜け出した神戸製鋼が35対29で逃げ切り、東芝、パナソニックとともに開幕3連勝を飾った。

 試合が終わっても興奮冷めやらぬファンが熱心に選手たちのサインをもらう光景は、ラグビー選手たちが彼らのヒーローになっている証でもあった。

試合後も選手のサインを求めるファンの列は後を絶たなかった(筆者撮影)
試合後も選手のサインを求めるファンの列は後を絶たなかった(筆者撮影)

【特別な思いで戦った神戸製鋼】

 この日の試合は、神戸製鋼にとって特別なものだった。1月17日に阪神・淡路大震災25周年を迎えて、サントリー戦は最初の神戸で迎える試合だったのだ。試合前には震災を経験したチーム同士として、神戸製鋼OB対新日鐵釜石OBのレジェンドマッチも行われ、ファンを喜ばせた。

 実は今シーズンの神戸製鋼は、震災25周年をしっかり胸に刻んでシーズンを戦っているのだ。今シーズン使用するジャージーには、25年前に震災で緊急停止した第三高炉があしらわれている。街の復興が進んだ今だからこそ、改めて日本国内で盛り上がりを見せているラグビーを通じて、神戸に元気を与えたいという思いに他ならない。

震災時に緊急停止した第三高炉をあしらった今シーズンのジャージーを着用した山中選手(筆者撮影)
震災時に緊急停止した第三高炉をあしらった今シーズンのジャージーを着用した山中選手(筆者撮影)

 この日前半に逆転トライを挙げチームの勝利に貢献した、日本代表としてW杯に全試合出場した山中亮平選手は試合後、以下のように話している。

 「震災から25周年が経過し(震災が)神戸で起こったことであって、神戸製鋼としてもラグビー部としてもそれを強く受け止めているので、神戸の街のためだったり、神戸を盛り上げることを考えて(今シーズンは)ラグビーをしている状態です。

 特にこの日の試合に関してはその思いを強くしていて、この1週間はそのことを考えながら1週間準備もできましたし、今日試合に入る前も震災が起きた時の映像を見て、全員が気持ちをつくったりしました。

 ジャージーに関しても会社として(震災時に)高炉が動かなくなったというのもあり、そこからしっかり復興させて再開させたというのがあったので、ラグビー部としてもそれを背負って一緒に戦うというのを意識してやっています」

 特別ジャージーとともに戦い続ける今シーズンの神戸製鋼。リーグ連覇にチームの結束力はかなり高そうだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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