シーズン後半戦突入! エンゼルスの成否のカギを握るのはやはり大谷翔平だ

6月以降の打撃はMLBトップクラスだった大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【前半戦は負け越しに終わったエンゼルス】

 オールスター戦はア・リーグの7連勝に終わり、いよいよMLBは12日からシーズン後半戦に突入する。

 大谷翔平選手が所属するエンゼルスは45勝46敗と負け越しで折り返すことになったが、ア・リーグ西地区ではアストロズに12.5ゲーム差をつけられ、ワイルドカード争いでもインディアンスに6.5ゲーム離されており、後半戦も厳しい戦いが強いられるのは必至だが、その中でどこまでポストシーズン争いに加われるかが焦点になるだろう。

 そんなエンゼルスのシーズン後半戦のカギを握る存在は、やはり大谷選手をおいて他にはいない。プロ選手として初めて野手としてのみで出場するシーズンで未知数な部分が多い分、それがそのまま期待感に変わるからだ。そんな期待感を抱かせてくれるほど、大谷選手は素晴らしいかたちで前半戦を終えている。

【不振に終わった5月】

 開幕序盤で厳しい戦いを強いられ、4月を13勝17敗で終えたエンゼルス。ファンやメディアから大谷選手の復帰待望論が高まる中、5月7日に復帰した当時の大谷選手の打撃は、残念ながら期待に応えられるようなものではなかった。

 5月を終えた時点で打率は.250に留まり、自慢の長打力も完全に影を潜め、長打率はわずか.330に終わった。でも当時の打撃を昨年と比較し現状分析しているが、本塁打は出ていても全体に打球が上がらず単打が多い状態だった。

【6月以降の打撃はMLBでもトップクラス】

 だがそんな傾向は6月から一変する。打率は徐々に上がっていき、それに伴い長打の数も増えていった。またアウトになってもその打球速度が話題になるなど、しっかりボールを捉えられるようになった兆しが見えるようになった。

 6月以降の成績を見ると、打率は.339で、長打率も.712を記録。現時点でMLBの打率トップはジェフ・マクニール選手の.349で、長打率トップはクリスチャン・イエリチ選手の.707という状況から理解できるように、ここ最近の大谷選手の打撃は、間違いなくMLBでもトップクラスだといっていい。

【すでに貢献度はエンゼルス3位】

 大谷選手の凄さを証明するのはそれだけではない。チームへの貢献度だ。

 ここ数年MLBですっかり浸透している、選手の貢献度を示す指標「WAR(Wins Above Replacement)」を見ると、シーズン前半戦のエンゼルスは、マイク・トラウト選手の5.9がダントツの1位で、デビッド・フレッチャー選手が2.5で2位、そして大谷選手が1.8で3位に入っている(資料元:『BASEBALL REFERENCE』)。

 このWARは試合で活躍すればするほど加算されていくもので、出場試合数が少なければそれだけ数値が小さくなる。それでも大谷選手は5月からの出場にかかわらず、すでにチーム3位の貢献度を示しているのだ。

 ちなみに昨シーズンの新人王投票で、両リーグそれぞれで5位までに入った選手とWARを比較しても、大谷選手の貢献度はまったく遜色がないことが分かる。

 大谷選手を含めた10選手で、野手のWARトップ5は以下の通りだ(括弧内は出場試合数)。

 1位: ロナルド・アクーニャJr. 3.1(90試合)

 2位: グレイバー・トーレス 2.5(81試合)

 3位: ブライアン・アンダーソン 2.4(87試合)

 4位: フアン・ソト 2.3(79試合)

 5位: 大谷翔平 1.8(53試合)

 前述した通り、WARは活躍していれば出場試合が多いほど数値も上がってくる。この5人を1試合当たりの平均WARで比較すれば、大谷選手(0.0396)はアクーニャJr.選手(0.0344)に次いで僅差ながら2位につけている。もう打撃だけでも、MLBの未来を背負う若手選手たちの中でトップを争う存在なのだ。

【期待しかないシーズン後半戦】

 残念ながら野球はチームスポーツだ。チームの勝利が最優先される。そうした意味では、大谷選手が復帰して以降のチーム成績は30勝27敗(大谷選手出場時は29勝24敗)と、決してずば抜けた成績を残しているわけではない。

 だが今シーズンのエンゼルスは開幕から投手陣に不安を抱え、苦戦が強いられるのは自明の理だった。その中で大谷選手が復帰以降、チームが勝ち越していること自体、十分に評価に値するだろう。

 リハビリ出場無しにいきなり実戦復帰した大谷選手からすれば、5月の1ヶ月間は、スプリングトレーニング中のオープン戦のようなものだった。現在の姿こそが、MLB2年目で更なる進化を続ける大谷選手の打撃だといえる。

 果たしてシーズン後半戦でどんな打撃を披露してくれるのか、今は期待しかない。シーズンが終了した頃は、周囲から「日本人史上最強スラッガー」の評価を受けている気がしてならない。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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