B1ライセンス不交付が決まったライジングゼファー福岡が残り2試合に託すブースターへの思い

京都ハンナリーズ戦に勝利し円陣を組むライジングゼファー福岡の選手たち(筆者撮影)

【完全なる消化試合にもかかわらず全身全霊を注ぎ込んだ福岡】

 今月9日に来シーズンのB1ライセンスの不交付が決まったライジングゼファー福岡。それに伴い残留プレーオフの出場権をも失い、その時点でシーズン残り試合は、選手たちにとって何の意味も持たない“消化試合”と化してしまった。シーズン終了までコートに立つモチベーションすら失っても何ら不思議ではない状況に置かれたといっていい。

 だが週末に京都ハンナリーズと戦った彼らは、そんな素振りを微塵も見せなかった。チャンピオンシップ進出を争う京都相手に、しかも敵地での試合でありながら全身全霊のプレーを続け、80対74、79対83と大接戦の末1勝1敗のタイに持ち込む大健闘をみせた。

 わざわざ敵地まで応援に駆け付けた福岡のブースターの中には、勝利した第1戦後に選手の姿に涙する姿もいたほどだ。それだけ選手たちが手を抜くことなく最後まで熱いプレーを繰り広げた証拠だろう。

【奈落の底に突き落とされたことでチームが1つにまとまる】

 B1ライセンス不交付のニュースは、選手、コーチにとっても寝耳に水だった。彼らもぎりぎりになって知らされたようで、かなりの衝撃だったはずだ。しかもチームは低迷しながらも残留プレーオフを目指して頑張っていたにもかかわらず、その出場資格も失ってしまったのだから、チームとして完全に梯子を外されてしまったようなものだ。

 それでも選手、コーチはミーティングを行った結果、逆に1つにまとまったのだという。キャプテンの山下泰弘選手は以下のように説明してくれた。

 「チーム状況が良くなくて、モチベーションもなく、チーム練習も満足にできていない中で、(京都戦を戦う前で)残り4試合ですし、選手たちはある意味吹っ切れて、福岡のために、応援してくれる皆さんのために頑張ろうという話をしました。細かい戦術で僕たちも良くないところ、修正点がいっぱいあるんですけど、そこ抜きに残り試合を頑張ろうというところで(京都戦も)みんな頑張りました。

 (ライセンス不交付は)発表と同時くらいに知らされて、まあ空気的なところは感じていたんですけど、実際にあそこまでというところはみんな知らなかったので、本当衝撃を受けましたね」

【ブースターのために戦うことを決めたホーム最終2試合】

 それでもチームを取り巻く環境は依然厳しいものだ。現時点でのB2ライセンスはあくまで条件付きであり、今月29日までに1億8000万円を確保できないと、B2ライセンスすらもはく奪されてしまう可能性があるのだ。まさに待ったなしの状態だ。それは選手たちの将来の行く末にも大きくかかわることであり、試合のことだけに集中することすら容易な状況ではないのだ。

京都戦に臨む福岡の先発5選手(筆者撮影)
京都戦に臨む福岡の先発5選手(筆者撮影)

 それでも選手、コーチは1つになって残されたホーム2試合をこれまで応援し続てくれた地元ブースターに捧げるべく、最高のプレーで締めくくろうとしている。ボビー・ナッシュACはチームの気持ちを次のように代弁してくれた。

 「我々にとって地元のブースターがBリーグで最も素晴らしいファンだと思っています。彼らは勝敗にかかわらずチームが良い時も悪い時も常にサポートしてくれました。とにかく自分たちの目標はこれまでと同じで、勝つためにコートに立ちます。特に(残り2試合は)ファンのために勝ちたいと思っています。今シーズンもわざわざ時間を割き、高額を支払って我々に会いに来てくれたのです。そうした彼らの思いに報いるためにも、2試合勝つために最大限の努力を惜しまないでしょう」

【福岡にチームを存続させるためにも街一体で最高のフィナーレを】

 これまで支えてくれたブースターだけではない。この週末はチーム存続を願う多くの地元の人たちもアリーナに足を運ぼうとしているという。山下選手はそうした声援にも応えるべく、最終2試合を戦おうとしている。

 「残留プレーオフにも出られないですし、来週の土日で試合が終わってしまうので…。またこのメンバーでプレーするのももちろん最後になるはずなので、1試合でも無駄にしないように頑張っていきたいと思っています。

 ニュースになってしまって、(チームを)知ってはいたけれど足を運べなかった人たちとかがライジングゼファーのためにできることはないかというところまで来てくれて、最終戦は何かしらのかたちで会場に来たいといってくださるファンの方もいます。

 また(J2の)アビスパ福岡の皆さんも、今日試合だったと思うんですけど、サポーターの方々がライジングゼファー福岡のコールをしてくださったり、福岡みんながライジングゼファーのことを気にしてくれて、何とか福岡にプロのチームを残そうと頑張ってくれているので、そういった方々のためにも最後はちゃんとしないといけないなと(チームで)話しています」

 シーズン最終節の福岡は、消化試合とは思えないリーグ一番の熱戦を繰り広げてくれることだろう。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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