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スター選手が勢揃い?! 未契約のベテランFA選手たちはこのままグランドを去ってしまうのか?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
イチロー選手と現役最年長の座を争っていたバートロ・コロン投手も未契約のままだ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【依然として厳しさが続くFA市場】

 いよいよMLBも開幕まで残すところ2週間余りとなった。今オフは2年連続でFA市場は厳しい状況が続き、多くのFA選手が未契約のままスプリングトレーニングに突入した。それでもここに来て、ようやくマニー・マチャド選手、ブライス・ハーパー選手のトップFA2選手がMLB史上最高額を更新する大型契約を結ぶことに成功し、開幕の準備を進めている。

 だがこの2選手はあくまで特例的な存在で、他のFA選手たちは依然として厳しい現実と向き合っている。例えばやや2選手には遅れたが、ダイヤモンドバックスと合意に達したアダム・ジョーンズ選手の契約内容は、1年で基本年俸300万ドル(約3億3000万円)だった。一応満額で200万ドル(約2億2000万円)のインセンティブがついてはいるものの、かなり破格の契約といっていいだろう。

 昨年までオリオールズの主力外野手として活躍し、オールスター戦出場5回、ゴールドグローブ賞受賞4回という実績は十分。昨年の年俸は1733万3333ドル(約19億円)と、間違いなくスター選手の1人だった。今年で34歳を迎え選手としてのピークは過ぎたかもしれないが、昨年も打率.281、15本塁打、63打点を記録しており、まだ十分に働ける実力を有していることを考えれば、やはりその契約内容は驚くしかない。

【今もトップ50選手のうち3選手が未契約】

 それでもジョーンズ選手のように開幕前に契約できたことの方がむしろ幸福なのだろう。依然として未契約のFA選手が数多く残っているのだ。MLBのトレードやFA市場の動向を専門的に取り上げる『MLB TRADE RUMORS』が、今オフの「トップ50FA選手」をリストアップしているが、そのうちダラス・カイケル投手(4位)、クレイグ・キンブレル投手(5位)、ジオ・ゴンザレス投手(27位)──の3選手が未契約のままだ。

 だが彼らの場合、米メディアでも契約交渉が続いていると報じられており、間違いなく獲得に乗り出しているチームが存在している。契約内容にある程度妥協さえすれば、遅かれ早かれ所属先がみつかる可能性が高い。

【MLBを盛り上げた未契約のベテランFA選手たち】

 それ以上に厳しい状況に置かれているのが、ここ最近メディアの間でも契約交渉の噂すら出てこないベテランFA選手たちだ。彼らに関しては未契約のまま開幕を迎えなければならないのは確定的だ。むしろシーズンを迎えたとしても、どれだけの選手たちが再びグラウンドに立つことができるのかも疑わしい。

 その中にはスター選手として活躍し、日本でも知名度の高い選手たちも含まれている。例えば…。

 ●バートロ・コロン投手(45)

 昨年までの現役最年長選手。ラテン系選手として最多となる通算勝利247勝を記録。シーズン終盤にMLB公式サイトに現役続行の意思を表明していた。

 ●ホゼ・バティスタ選手(38)

 本塁打王獲得2回、オールスター戦出場6回を誇るスター選手。通算本塁打数は344本。昨年も未契約のまま開幕を迎えてが、シーズン途中でブレーブスと合意。その後メッツ、フィリーズを渡り歩いた。

 ●マット・ホリデー選手(39)

 かつてはMLBを代表するスラッガー。2007年には二冠王(打率&打点)を獲得。オールスター戦出場7回、シルバースラッガー賞受賞4回を誇る。昨年はシーズン途中で古巣ロッキーズと契約したが、わずか25試合に留まった。

 ●クリス・ヤング選手(35)

 MLB在籍13年を誇る。オールスター戦出場1回。昨年は大谷翔平選手の同僚だったが、シーズン途中で臀部の手術を受け戦線離脱。キャリア最低の成績でシーズンを終えていた。

 ●カルロス・ゴンザレス選手(33)

 長年にわたりロッキーズの主軸打者として活躍。オールスター戦出場3回、ゴールドグローブ賞受賞3回、シルバースラッガー賞受賞2回と実績も十分。昨年も打率.276、16本塁打、64打点を残す。

 ●ヨバニ・ガヤード投手(33)

 長年ブルワーズで大黒柱の1人としてチームを牽引。通算勝利数121勝。オールスター戦出場1回。昨年もシーズン開幕後にレンジャーズ入りし、18試合に登板し8勝8敗の成績を残す。

 ●ジム・ジョンソン投手(35)

 セーブ王獲得2回を誇るリリーフ投手。昨年は大谷翔平選手の同僚で、エンゼルスのリリーフ陣の一角を担う。62試合に登板し、5勝3敗、防御率3.84を残す。

 どうだろう。どの選手もMLBの歴史を彩った選手たちばかりだ。果たして彼らのユニフォーム姿をもう見ることはできないのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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