不振からの脱却! リーグ最下位に沈む滋賀レイクスターズがシーズン終盤で見据えているもの
Bリーグ(B1)は3週間のブレイクが終了し、シーズン終盤戦に突入した。ここまでリーグ最下位に沈む滋賀レイクスターズは敵地で京都ハンナリーズと対戦し、83対88、85対90といずれも接戦に持ち込んだが連敗に終わった。
ここまで前チーム42試合を消化し8勝34敗と、リーグで唯一勝利数が一桁に留まっている。ただ滋賀が勝利した8試合は、新潟アルビレックスBB、川崎ブレイブサンダース、栃木ブレックス、三遠ネオフェニックス、ライジングゼファー福岡(2勝)、京都、琉球ゴールデンキングス戦で、何と7チーム中5チームが勝率5割以上のチームなのだ。彼らが単純な弱小チームでないことが理解できるだろう。
就任2年目のショーン・デニスHCの下、壺にはまった時は上位チームを撃破するほどの強さを発揮する一方で、期待の若手有望選手たちのプレーが安定感を欠き、また外国籍選手が2人もチームを去るなど、なかなかチーム一体となって戦う態勢を整えることができなかった。
ただ現状を悲観し、下を向いているだけでは何の解決にもならない。チームは奇跡でも起こらない限り、ほぼ間違いなく初の残留プレーオフに回ることになる。このままの状態でプレーオフに回るのはあまりにリスクがある。何としてもB2降格を阻止するためにも、少しでもチーム状態を上げてプレーオフに臨みたいところだ。
もちろんデニスHCもその辺りをしっかり理解した上で、残りシーズンを戦おうとしている。
「何としても勝っていくということが重要になってくるし、勝ち方であったり、試合の終わり方というところを改善していくというところが重要になって重要になってくると思います。
この(京都の)2試合ともクロスゲームでしたし、(ブレイク前の)東京戦でも優勝候補相手に5点差の試合をすることもできました。今京都我々との違いというのは、5点差以内での試合を、おそらく京都は20勝4敗ぐらいの成績を残していると思いますが、我々は4勝20敗に終わっています。我々としてはそういったゲームに勝っていくために、しっかりとポゼションを大切にしていかねばなりませんし、状況判断を改善していかなければなりません。
我々のバスケットをしっかり続けていきながら自信を持ってプレーをしていくことによって、残留プレーオフに回ったとしても自信を持って戦えるように準備をしていくことが一番重要だと思います」
デニスHCが指摘するように、今チームに最も必要なものは自信を取り戻すことだ。善戦はしているものの、結局は接戦を落としてしまうという敗戦を繰り返している内に、チームは徐々に自信を喪失していってしまった。今は接戦を勝ちきるという成功体験を増やすことで、自信を取り戻していくしかない。
滋賀がここから巻き返せるのか、そのカギを握るのがブレイク中にチームに加入してきたアレン・ダーラム選手、ヘンリー・ウォーカー選手の外国籍選手だ。2人とも京都戦2試合に先発出場し、Bリーグ初参戦とは思えない顕著な活躍をみせている。特に2試合で2人合わせて計16アシストを記録しており、両選手ともに周りの選手を生かせるプレーが魅力的だ。
もちろんデニスHCは、両選手に期待するところが大きいようだ。
「新外国人選手が2人加わったことで、この3週間は彼らにとっても、チームにとってもプレシーズンのようなもので、我々のシステムを一から指導し直す機会になりました。残念ながらシーズン途中でプレシーズン・ゲームがあるわけではないので、新外国人選手にとっては新しい経験が多く、特に試合の笛の鳴り方などしっかりアジャストしていく必要があると思いますし、彼らにとっては大変なことだと思います。
ただ(京都戦第2戦でも)外国人選手2人合わせて9アシストを記録しており、彼がコート上に立つことで他の選手のパフォーマンスが上がるという要素があるので、非常にいい徴候だと思っています」
2人の外国籍選手たちも残りシーズン20試合でのチーム合流にもかかわらず、非常に前向きに捉えている。
「Bリーグでプレーするのは初体験であるが、ここでチームとして成功するのは本当に大変なことだと感じている。自分にとっては大きなチャレンジだが、非常に楽しみでもある。とにかく自分とアレンにとって個人的な成功は、チームに勝利をもたらすことだ。この2試合は接戦を演じることができたし、あとは試合をきちんと試合を締めくくる正しいレシピを得るだけだ。
残り試合に関係なく前に進んでいくしかない。その中で“勝ち癖”を身につけていくことだ。自分がチームに加入してからもチームはよくまとまってきているし、これからも成長していくだろう」(ウォーカー選手)
「いろいろな選手からBリーグについて話を聞いており、こういう機会を与えてもらい楽しみにしている。リーグのレベルは高い中、トップチームの1つ(京都)と対戦し、自分もチームトとして何をしていくべきなのかも把握できた。とにかく我々は改善していきながら、ただここから上を目指していくだけだ。
あまり先のことを考えず、目の前の試合で少しでもいいプレーをしていくことだけに集中していくことだ。その中でコーチが求める細かい部分をしっかりできるようになっていけば、自然と勝利がついてくるものだ」(ダーラム選手)
新たに外国籍選手2人を迎え入れ、滋賀はシーズン途中で生まれ変わったに等しい。他のチームが試合を積み重ねチームとして固まっている中で、新たなスタートを切るのは簡単なことではない。だがチームの伸びしろという面では、滋賀ほど可能性が高いチームはないだろう。
残り18試合でどこまでチームとして成長できるか。待ったなしの戦いが続く。