「システムは崩壊している」 FA市場の危機的状況にバーランダーが疑問を呈するツイートを投稿

FA市場の危機的状況に疑問を呈したジャスティン・バーランダー投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 いよいよMLBもバッテリー組のキャンプインが目前に迫っているが(アスレチックスはいち早く現地11日に集合日を迎えた)、FA市場は今も停滞を続け、危機的状況を迎えているといっていい。

 『MLB Trade Rumors』がまとめている今オフのFA選手動向によれば、ここ最近マイナー契約を結び次々に所属先が決まり出しているが、現時点でも75人が未契約のまま残されている。このまま各チームがキャンプインしていけば、昨年同様に選手会が未契約選手のために独自のキャンプを実施しなければならない状況だ。

 しかも今オフのFA市場は例年以上に豊作だといわれていたにもかかわらず、同サイトが順位付けした「FA選手ランキング」のトップ5の中で契約できたのは第3位のパトリック・コービン投手のみ。残り4選手は今だに所属先が決まっていない。

 さらに契約が決まった選手たちも、FA選手として大型契約を獲得した選手はごくわずかだ。平均年俸で2000万ドル(約22億円)を超えた契約で合意できたのはコービン投手(6年平均年俸2333万ドル)とジョシュ・ドナルドソン選手(1年2300万ドル)の2選手しかおらず、年俸1000万ドル(約11億円)以上で契約した選手も19人しかいない。年俸調停権を得たノーラン・アレナド選手が調停を回避し、年俸2600万ドルで契約していることを考えれば、かなり年俸が抑えられているのが分かるだろう。

 それを物語るように、ストーブリーグが始まった当初はブライス・ハーパー選手やマニー・マチャド選手の2大FA選手は平均年俸3000万ドル(約33億円)を超える攻防になると予測されていたが、先月報じられたところでは、マチャド選手獲得に熱心だったホワイトソックスが提示した契約内容は7年で総額1億7500万ドルとされており(マチャド選手側はこの報道を完全否定しているが)、各チームがトップFA選手たちに対しかなり厳しい契約内容を提示していることから、契約がまとまらない状況が続いている模様だ。

 そんな中、球界屈指のエース的存在であるジャスティン・バーランダー投手がFA市場の現状を憂い、以下のようなツイートを投稿している。

 現時点でも数多くのFA選手が未契約の状態に、バーランダー投手は現行のFA制度は「システムが崩壊している」と断言。さらにチーム側が“チーム再建”を理由に「ブライスやマニーのような選手と10年契約は結べない」との説明することについて、「自分には(彼らと契約することが)最高のチーム再建策に見える。26~36歳(2選手とも現在26歳)は選手として絶頂期だ」と疑問を呈している。

 確かにバーランダー投手が主張するように、ハーパー選手やマチャド選手のような実績ある若手FA選手を中心選手にすることで、長期ビジョンでチーム再建に着手できるはずだ。若手有望選手の将来性に託すより、確実にチームを強化することができるだろう。

 だがその一方で、チーム再建を続けていくと更なる選手補強が必要になっていくことになる。そうなれば年俸総額にある程度の限度があるチームにとっては、高額年俸選手を長期間抱えることで柔軟な選手補強ができなくなってしまうという側面がある。

 FA市場の停滞は今オフのみの現象ではなく、現行の統一労働規約上の課徴金制度(いわゆるぜいたく税)が適用された昨オフから続いているものだ。昨オフは新たな課徴金制度が適用され、各チームがFA選手との契約に慎重だったのではと思われていたが、今オフも同様の現象が続いていることを考えると、FA市場の停滞は一時的な現象ではなく潮流になりつつあるといっていいだろう。

 これは選手会にとって危機的状況だ。果たして同組織のトニー・クラーク専務理事に打開策はあるのか。いずれにせよ厳しい舵取りが待ち受けている。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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