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八村塁だけじゃない! 元NBAスター選手の2世たちが続々登場予定の大学バスケが面白い

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
オレゴン大に進学し、1年生ながら注目を集めるボル・ボル選手(大学公式サイトより)

 今年夏に行われたFIBAワールドカップ2019アジア地区1次&2次予選で、バスケ日本代表が4連勝を飾る原動力になったのが弱冠20歳の八村塁選手だ。今やその活躍ぶりから、日本代表のエース的存在になりつつある。

 残念ながら八村選手が所属するゴンザガ大がNCAA(全米大学体育協会)シーズンに突入してしまったため、11月30日、12月3日に富山で行われる同2次予選のカタール、カザフスタン戦には代表チームに合流できないのはすでに各メディアで報じられている通りだ。だが自身にとって3年目を迎えたNCAAシーズンで、ここまで全米の注目を集める活躍を続けている。

 今シーズンから先発メンバーに固定されると、11月6日のシーズン開幕戦でチーム最多の33得点を挙げる活躍でチームを勝利に導くと、招待チームが参加してトーナメントを戦う『マウイ・インビテーショナル』に参戦。ここでもチームと主力得点源として破竹の連勝を続け、決勝では20得点、7リバウンド、5アシスト、3ブロックショット(アシスト以外はチーム最多)を記録するオールラウンドの活躍で、全米ランキング1位のデューク大を撃破し優勝を飾り、八村選手自身も大会MVPに選出されている。

 この大会はESPNが中継していたのだが、決勝戦では同局もゴンザガ大の選手の中では八村選手を最注目選手として紹介し、試合中に事前に収録した単独インタビューを紹介する気合いの入れようだった。また大会の調査に来ていた各NBAチームのスカウトの取材をしていた記者も登場し、「ハチムラの評価が急激に上がっている」との評判を紹介している。

 八村選手が現在のような活躍を続け、シーズン終了後にNBAドラフトへのアーリーエントリー(卒業を待たずにプロ入りを表明すること)の手続きをしたとしたなら、来年実施されるドラフトの目玉選手の1人になるのは必至で、日本人初の1巡目指名は間違いないところだ。シーズンが進むにつれ今後日本でも、八村選手の注目度は全国的に広がっていくことになるだろう。

 ところで八村選手のみならず、大学バスケはNBAのスター候補選手たちが集結する場だ。現在のNBAでは昔のように高卒から直接NBA入りすることはできなくなっており(かつてはコービ・ブライアント選手やレブロン・ジェームス選手らは高卒選手だった)、海外リーグに所属する外国枠の選手以外、すべて大学に進学しなければならない。なので日本のNBAファンの方々も、大学時代から若手有望選手たちの活躍ぶりをチェックしていることだろう。

 そうした方々には釈迦に説法かもしれないが、八村選手をきっかけに大学バスケに興味を持った人たちのために、さらに皆さんの興味をかき立てるような情報をお伝えしたい。実は今シーズンから続々元NBAスター選手たちの2世選手が大学バスケに参戦してくる予定なのだ。

 もちろんこれまでも多くの親子NBA選手が誕生している。特に有名なのは現在リーグ屈指のスター選手であるステフェン・カリー選手は、かつてホーネッツなどに在籍したデル・カリー選手の息子として知られている(父親が現役時代にスター選手だったかといえばやはり疑問が残るところだろう)。

 今シーズン個人的に注目していたのが、2人のスター選手の息子が大学入りしたことだ。まず1人はNBA史上最長身選手として知られる故マヌート・ボル選手の息子であるボル・ボル選手がオレゴン大学に入学している。ボル選手は父親(231センチ)ほど大きくないものの、221センチと申し分ない体格を有している。高校時代に数々の名門校からスカラシップ(奨学金)の誘いを受けており、彼は1年生ながらすでに来年のドラフト有力候補に名を連ねる逸材だ。

 もう1人がNBA史上最強センターの1人、シャキール・オニール選手の息子(次男)のシャリーフ・オニール選手がUCLAに進学している。シャリーフ選手も父親(216センチ)ほど大きくなく206センチしかない。もちろんポジションも父親と同センターではなくパワー・フォワード、もしくはスモール・フォワードの選手だが、その分父親よりもシュートレンジが広くむしろオールラウンドタイプの選手として期待されている。

 残念ながらシャリーフ選手はシーズン開幕前に心臓に異常が見つかり修復手術を受けており、今シーズンは欠場することになってしまった。しかしシャキール氏は息子のNBA入りに太鼓判を押しており、来シーズン以降の活躍が楽しみだ。

 さらに来シーズンはマイケル・ジョーダン選手とともにブルズの2度の3連覇に貢献したスコッティ・ピッペン選手の息子(スコッティ・ピッペンJr選手)が大学進学予定で、2020年には現在も現役を続けるドウェイン・ウェイド選手の長男(ザイアー・ウェイド選手)が大学バスケのコートに立つことになる。また米国ではレブロン・ジェームス選手の長男(レブロン・ジェームスJr選手、来年高校進学)やジェイソン・ウィリアムス選手の長男(ジャクソン・ウィリアムス選手、現在高校生)らもすでにバスケ・ファンから注目を集めている。

 如何だろう。こうした日本でも名の知れたスター選手たちの2世選手を追跡してみるのもかなり面白い。八村選手同様、彼らがNBAに到達できる素養を有しているのかを見極める上で、大学バスケは必見の価値があるだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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