エンゼルスが本拠地移転を決断!? チームが球場リース契約の解除を正式発表

現在のMLBの球場で4番目に古い1966年開業のエンゼル・スタジアム(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルスの地元紙である『Los Angeles Times』紙は現地16日、エンゼルスがアナハイム市と結んでいる、本拠地球場のエンゼル・スタジアムのリース契約を解除したと報じた。同紙ビル・シャイキン記者の記事によれば、契約解除したエンゼルスは今後同球場と新たなリース契約を結び直すか、もしくは新球場への移転を模索することになるようだ。

 1961年に誕生したエンゼルスは創設当初はロサンゼルスを本拠地(リグレー・フィールド及びドジャー・スタジアム)にしてきたが、1966年にアナハイム・スタジアム(現エンゼル・スタジアム)が開業したのを機に、本拠地をアナハイムに移していた。現在MLBの球場の中では4番目に古い(フェンウェイ・パーク、リグレー・フィールド、ドジャー・スタジアムに次ぐ)球場になる。

 今回の決定に関しジョン・カルピノ球団社長は、以下のような声明を発表している。

 「将来を見据える上で、我々は現在のリース契約で得られるものを超える、高品質のファン体験を提供できるような能力を必要としている。我々はすべてのオプションを見比べ、今後どのようにファンに素晴らしいサービスを提供できるかを検討することは重要なことだ」

 エンゼルスにとって16日が、契約上の重要な日だった。この日までに契約解除をしなければ、自動的にリース契約が2028年まで自動更新されることになっていた。そうなると向こう10年間はエンゼル・スタジアムから身動きできなくなってしまうため、カルピノ社長との言葉通り、いろいろなオプションを揃えるため契約解除の道を選択したわけだ。

 だからといってエンゼルスは、新球場のために南カリフォルニアから離れるつもりはまったくない。あくまで同地域内でエンゼル・スタジアム以外の本拠地球場を移転できる可能性を模索している。それはチーム名の変遷からも感じ取ることができる。

 まずエンゼルスは、エンゼル・スタジアムへの移転が決まってから「ロサンゼルス・エンゼルス」から「カリフォルニア・エンゼルス」に変更した。その後1997年から「アナハイム・エンゼルス」に変わり、2005年から「アナハイム・エンゼルス・オブ・ロサンゼルス」になり、2016年から現在の「ロサンゼルス・エンゼルス」──と変遷を続けている。

 正直にいうと、エンゼルスが“ロサンゼルス”を名のるのはかなり無理がある。厳密に捉えるならば、ロサンゼルスはあくまでロサンゼルス市を中心とする“ロサンゼルス郡”のことであり、エンゼル・スタジアムが位置するアナハイムは“オレンジ郡”に属しているのだ。つまりロサンゼルスとは何ら関係がない。にもかかわらず、1997年からチーム名にロサンゼルスが復活し、現在はアナハイムすら名のらなくなってしまったのだ。球場を所有するアナハイム市や地元住民は決して嬉しいはずはないだろう。

 実はエンゼルスが再びロサンゼルスを名のるようになってから、まことしやかに囁かれているのが、エンゼルスが真剣にロサンゼルスに戻る機会を模索しているのでは、ということだ。それを物語るように、これまで何度となくロサンゼルス郡内の新球場建設案が浮上しているのだ。

 その一方で、アナハイム市としては何としてもエンゼルスをエンゼル・スタジアムに留めておきたいところだ。2003年に現在のアート・モレロ=オーナーがチームを買収して以来、毎年300万枚以上のチケット売り上げを記録しているチームは、MLBの中でもエンゼルスとヤンキースしか存在していない。これだけの優良球団を失うのは市としては間違いなく大きな損失だ。

 だが現在のトム・テイト市長は、決して協力的ではなかった。エンゼル・スタジアムはディズニーが1996年にチームを買収したのを機に、大々的な改修工事を行っているのだが、それ以降は大幅な工事は実施されていない。また市とエンゼルスは2013年に改修工事に仮合意していたのだが、それに反対してきたのが現在の市長だった。

 そんな中、市長と3人の市議会員が任期を迎え、来月選挙が実施されることになっている。もしテイト市長が再選されるようなことになれば、今後のリース契約にも影響を及ぼすことになるかもしれないし、エンゼルスはさらに本格的に新球場への移転を模索していくことになるだろう。

 今後のアナハイム市の対応次第では、エンゼルスは本当の意味で真のロサンゼルスのチームになってしまうのだ。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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