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早くも今季40セーブ目を挙げたエドウィン・ディアスに期待される年間セーブ新記録

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
両リーグ最速で今季40セーブ目を挙げたエドウィン・ディアス投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 マリナーズの守護神、エドウィン・ディアス投手が現地30日のアストロズ戦に登板し、わずか7球で3者凡退に抑える好救援で両リーグ最速で40セーブ目を挙げた。これで2位につけるクレイグ・キンブレル投手に7差をつけることに成功。初のセーブ王獲得に独走態勢を固めつつある。

 ディアス投手は2016年にMLBデビューしたばかりのプエルトリコ出身の24歳右腕だ。MLB1年目からシーズン途中でクローザーに指名され、今シーズンは過去2年を上回る成績を残し続け、オールスター戦にも初選出。今売り出し中の若き守護神だ。シーズン後半戦に入っても、その勢いは留まるどころか増すばかり。ここまで7月の防御率はゼロ(ただし7月24日のジャイアンツ戦で自責はゼロながら失点を許し負け投手になっている)で、被打率も.063でWHIP(1イニング当たりの被安打+与四球率)も0.444と、まったく手がつけられない状態だ。

 ディアス投手自身がこれだけの好調を維持し、チームもアストロズと熾烈な地区首位争いを続けており、今後もセーブ機会での登板はかなり多くなってくるだろう。そうなってくると、俄然期待がかかってくるのがMLBの年間セーブ記録の更新だ。これまでの記録は、“K-Rod”のニックネームで知られたフランシスコ・ロドリゲス投手(当時エンゼルス)が2008年に樹立した62セーブ。それ以降は51セーブ(3投手が到達。最近では2015年のジェイオリス・ファミリア投手)が最高で、なかなか記録更新のチャンスは訪れなかった。

 改めて当時のロドリゲス投手の成績を振り返ってみると、7月終了時点で44セーブを挙げており、そのペースは現在のディアス投手を上回っている。この記録を打ち破るのは決して簡単なことではない。だが当時のロドリゲス投手のセーブ成功率は89.9%で、7度セーブ機会の救援に失敗している(特に8月以降だけで4回失敗)のに対し、ここまでディアス投手のセーブ成功率は93.0%とロドリゲス投手を上回っている。残り2ヶ月を現在の調子で投げ続けることができれば、決して届かない記録ではないのだ。

 こうしたシーズン記録更新のチャンスは毎年のように訪れるものではないし、記録更新を目撃できるのも大きな楽しみになる。残りシーズンを見守る上で大きな注目点が増えた。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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