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メッツのエース投手が子供向け野球教室に参加しDL入りしてしまった悲運すぎる理由とは?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
子供向け野球教室に参加したことでDL入りしたメッツのノア・シンダーガード投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メッツは現地22日、同チームの大黒柱の1人、ノア・シンダーガード投手を10日間のDL入りさせたことを発表した。MLB公式サイトなどの現地複数メディアが報じたところでは、同投手がDL入りした理由は何とのいえない悲運だったのだ。

 シンダーガード投手のDLを発表した後に実施された試合前会見で、ジョン・リコ監督が説明したところでは、同投手は主に乳幼児が感染しやすい『手足口病』を発症したためだという。しかもその感染した原因が、オールスター戦期間中の休暇を利用して参加した子供向け野球教室だったというのだ。

 日本の医療系サイト『病院なび』によれば、『手足口病』とは夏にピークを迎えるウィルスによる感染する病で、口の中や手のひら、足の甲や裏などに水ぶくれ状の発疹ができる。ただし発症者の約9割が5歳以下の乳幼児で、基本的には大人が発症することはないらしい。しかし大人でも今まで一度も感染したことがなかったり、今まで感染したことがない種類のウィルスが原因で発症してしまう例があり、また大人が発症した場合でも重症化する可能性もあるという、決して侮れない病気だ。

 今シーズンの平均球速が97.2マイル(約156キロ)とMLB屈指の速球派として知られるシンダーガード投手だったのが、シーズン後半戦最初の登板となった今月20日のヤンキース戦では球速ががた落ちし、いわゆる疲労による“デッドアーム”状態だったため、5回1失点ながら84球で降板していた。改めて登板後に診断を受けたところ、何とも珍しい病気を発症していたことが判明したのだ。

 リコ監督によれば、病状は決して深刻ではなく一度の登板回避で復帰できる予定だが、MLB選手として積極的なコミュニティ活動に参加した結果DL入りを余儀なくされてしまったわけで、これ以上の悲運はないだろう。

 今後はシンダーガード投手やメッツのみならず、シーズン中のコミュニティ活動はMLB全体で細心の注意喚起が必要になりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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