やや実戦不足で開幕を迎えるイチローは苦手の4月をどう乗り切るのか?

不慮のアクシデントが続き順調に実戦をこなせなかったイチロー選手(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今月7日に正式契約を交わし、6年ぶりにマリナーズ復帰が決まったイチロー選手だが、ここまで決して順調な調整ができていない。右脚ふくらはぎの張り、さらには頭部に死球を受けるアクシデントが重なり、なかなか実戦をこないせないまま18年目のシーズンを迎えようとしている。

 すでにスコット・サービス監督が言及しているように、死球の後遺症などで問題なければ予定通り開幕ロースターに名前を連ねることになる。入団会見で改めて最低でも50歳まで現役を続けるという思いを明らかにしているイチロー選手の体調管理は誰もが一目置いていることから体調面は心配する必要はないだろうが、打撃面でやや実戦不足な点はかなり気がかりなところだ。

 イチロー選手にとって今シーズンは、スタートの出来がかなり重要になってくる。開幕当初は「先発レフト」の座が保証されているが、当初の先発レフトだったベン・ギャメル選手が故障・離脱したことでチームもイチロー選手との契約に踏み切ったことを考えれば、ギャメル選手が復帰するまでの成績がその後の起用法に大きな影響を及ぼすことになるからだ。

 そもそもイチロー選手は開幕直後の4月をあまり得意にはしていない。タイトルにある“苦手”という表現が適切かどうははさせおき、これまで17年間のシーズンの月別通算打率を見てみると、4月が.297と最も低いのだ。ちなみに月別打率で3割を切っているのは7月(.299)と4月のみ。4月を順調に過ごしてきたとは言い切れないのは理解してもらえるだろう。特に昨シーズンは突如として先発機会が減ったこともあり、自身最低の.148まで落ち込んでいる。

 一方、月別打率で最も高いのが5月の.331だ。つまりイチロー選手の全体の傾向として4月で実戦を積み重ねながら打撃の調子を上げていき、5月で一気に波に乗っていくということになるのだろう。しかしギャメル選手は早ければ4月中には復帰できる見込みで、あくまで限られた期間の中で首脳陣を納得させる成績を残さなければならなくなるのだ。そう考えるとここまでの実戦不足は、明らかにマイナス要因といえるだろう。

 しかしこれはあくまで通算成績から考察できる傾向であって、17年間すべて同じように推移していたわけではない。17シーズンのうち4月の月間打率が3割を超えているのが9回あるように、その時の体調や打撃の状態で成績も違ってきているのだ。中でも2014年シーズンでは自身最高の.357を記録し、また2016年シーズンでも.333を残しているように、40歳を超えてからも開幕から好成績を残しているシーズンが多いのだ。

 さらに昨シーズンのイチロー選手は先発機会を極端に減らされ、数少ない打席の中で自分の打撃を確立していくという過去にない経験を味わうことになった。シーズン前半こそはなかなか思うようにはいかなかったが、シーズン後半は3割近い打率(.299)を残すまでに至っている。この経験を生かすことができれば、実戦不足をカバーできることも可能ではないか。

 繰り返しになるが、今シーズンのイチロー選手は4月の出来が、今シーズンばかりかその後の野球人生までをも左右することになる。ある

意味日本人メジャー選手の中で開幕直後の動向が最も注目される存在なのかもしれない。

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

有料ニュースの定期購読

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシーサンプル記事
月額550円(初月無料)
月3、4回程度
22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

あわせて読みたい

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

ニュースのその先に ドキュメンタリーで知る世界へ

Yahoo!ニュース個人編集部ピックアップ