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NFLと選手会が国歌斉唱時のルール変更せずと正式表明

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
国歌斉唱時のルール変更を否定したロジャー・グッデル=コミッショナー(写真:ロイター/アフロ)

 試合前の国歌斉唱時にひざまずく行為でドナルド・トランプ大統領と全面対決を続けているNFLだが、ロジャー・グッデル=コミッショナーは現地11日、選手会同意の下に声明を発表し、今後も国歌斉唱時のルールを変更する意志がないことを明らかにした。

 発表した声明は次の通り。

 「ロジャー・グッデル=コミッショナーは本日、選手会のデマーカス・スミス事務局長と協議し、両者ともに来週開催されるリーグ・ミーティングに選手代表と一緒に参加することを確認した。さらに国歌斉唱に関する現行ルールを変更することはせず、選手たちが声を挙げている重要な社会問題が進展していく上で、我々の指針は今後も継続していく。NFLコミュニティに関わる全員が国、国旗、国歌、軍へ最大限の敬意を抱いている。我々は市民的で建設的な方法で一致団結しながら問題に対処していくだろう」

 さらにNFLは水面下で事態収拾に向け積極的に動いている。ESPNなどの地元メディアが報じたところでは、今回の声明を発表する前にグッデル=コミッショナーは10日付けで各チームに文書を送付し、選手たちに国歌斉唱時の起立を求めている。

 文書の一部を抜粋すると、「国歌斉唱時の抗議活動が、我々の一体感を脅かされ、今では国内で選手とファンが分断されようとしている」と説明した上で、「多くのファンが望んでいるように、我々は国歌斉唱時に起立すべきだと信じる。それが試合の中で最も大切な瞬間でもある。我々は国、国歌に敬意を表したい。ファンもそれを期待している」と書かれている。

 国歌斉唱に関する現行ルールでも起立することが記されており、改めて文書を送付することでその徹底を求めたものだ。一方で今回の声明にあるように、ルールの厳格化を避けるように努めており、NFL、選手会は“選手の声”を奪うことなく事態の沈静化を目指しているようだ。

 とりあえず来週予定されているリーグ・ミーティングでどんな結論が下されるのか、注目されるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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