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NFLと全面対決へ!トランプ大統領がファンに試合ボイコットを呼びかけ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
NFLファンに試合のボイコットを呼びかけたドナルド・トランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

 24日朝にドナルド・トランプ大統領がツイッター上に投稿したメッセージはあまりに過激すぎる内容だった。

 「もしNFLファンが選手たちが国旗、国に対する侮辱的な行為を止めるまで試合観戦を拒否すれば、すぐに変化が起こるだろう。(選手たちを)解雇か出場停止処分にすべきだ」

 「…NFLの観客動員と視聴率は極端に落ちている。試合がつまらない。皆が(NFLから)離れている。皆が国を愛しているからだ。リーグは国(の誇り)を取り戻すべきだ」

 トランプ大統領が米国最大のプロリーグを敵に回すことになったのは、NFL選手による大統領を非難する行動をとるようになったことから始まった。サンフランシスコ・49ers(現在はFA選手)のコリン・キャパニック選手らが中心になってトランプ大統領の人種問題への取り組みに反対の意を示すため、試合前の国歌斉唱の際に直立するのではなくひざまずいて国歌を聴くようになった。

 これを不満に感じたトランプ大統領はアラバマ州で行われた政治集会の演説で、選手たちの行為を国と国旗を侮辱するものとして切り捨て、汚い表現を使いながら「NFLのオーナーたちはそんな選手をフィールドから追い出すべきだ」と猛烈批判を行ったのだ。

 この過激発言がNFL全体に飛び火した。NFL選手たちは次々に大統領のコメントに不快感を示し、今後も抗議活動を続けることを表明。またロジャー・グッデル=コミッショナーも声明を発表し、「NFLに対する敬意の欠如」と大統領に対し如実な不快感を示している。

 さらにトランプ大統領が矢継ぎ早にNFL批判を繰り返す中、コミッショナーのみならずオーナーたちも次々に大統領に異を唱え、選手たちを擁護する立場を表明している。その中にはトランプ大統領と長年親交のあったニューイングランド・ペイトリオッツのロバート・クラフト=オーナーも含まれている。

 ESPNによれば、グッデル=コミッショナーと選手会のデマーカス・スミス事務局長が23日に、対決姿勢を鮮明しているトランプ大統領への対策を協議した模様だ。

 だが選手の抗議活動はすでにMLBにも波及しており、簡単に沈静化しそうな状況にはない。

 果たしてNFLファン、スポーツファンは、選手、大統領のどちらを支持するのだろうか。いずれにせよスポーツ界も人種問題で二分化する危険性が生じていることだけは間違いなさそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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