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ガンから復帰のチャド・ベティスをMLB球界全体で祝福

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ガンを克服し復帰登板を飾ったチャド・ベティス投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ブレーブス戦開始直前、ロッキーズの本拠地『クアーズ・フィールド』に大きな叫び声がこだました。この日先発のチャド・ベティス投手がマウンドに向かうと、ファンが総立ちで歓声を送ったからだ。ガンとの闘病生活を経て、昨年9月30日以来となるMLB公式戦のマウンドに戻ってきた28歳右腕の表情に変化はなかったが、その胸中は感慨深いものだったはずだ。

 2010年ドラフトでロッキーズから2巡目指名を受けた逸材。2013年にMLB初昇格を果たすと、2015年には先発ローテーションに加わり、昨年は14勝8敗、防御率4.79の成績を残し、将来のエース候補にまで成長を遂げていた。

 しかし昨年11月に悪夢が襲った。睾丸に腫瘍が見つかり、診断結果は睾丸ガンだった。すぐに1つの睾丸摘出手術を受けた。術後経過も順調で、一時はスプリングトレーニング参加も許可されたのだが、選手全員が受ける健康診断でリンパ節への転移が見つかり、再び闘病生活に逆戻り。9週間の化学療法を経て、ようやく7月13日にマイナーリーグでリハビリ登板を開始できるようになっていた。

 復帰登板には家族も駆けつけ、さらにガンと闘う子供たちも足を運び「Cancer Free」のプラカードを抱えて応援する姿もあった。球場全体がガンを克服しマウンドに復帰したベティス投手の不屈の精神力を称え続けた。

 それだけではない。ツイッター上では「TogetherForBettis」のハッシュタグをつけ、MLBの各球団や球界関係者、さらに全国各地のファンがベティス投手への祝福ツイートを公開。球界全体でベティス投手の復帰を祝った。対戦相手のブレーブスも以下のようなツイートを公開している。

 ファンの声援に応えるかのように、ベティス投手も好投を披露した。7回を投げ6安打されながらも粘り強い投球で無失点に抑えた。90球の熱投だった。ベンチに戻りバド・ブラック監督から交代を告げられ固い握手を交わすと、ベティス投手の表情が満面の笑みに変わった。そして近寄ってくるチームメイトたちから次々に熱い抱擁を受け改めて復帰を祝福された。

 ベティス投手にとって、選手生活の中で最も感慨深い1日になったのではないだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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