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44歳バートロ・コロンが亡き母との約束を守るため来季の現役続行を表明

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
亡き母との約束を守るため来季の現役続行を表明したバートロ・コロン投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月24日にツインズで2度目の先発を果たしたバートロ・コロン投手。5回を投げ8安打3失点と決して素晴らしい内容ではなかったが、チームの逆転勝ちに貢献するものだった。すでに30日のアスレチックス戦での次回登板も決まり、先発ローテーションの残留を決めている。

 実はツインズ初登板となった18日のヤンキース戦で4回8安打4失点で敗戦投手に終わった後、米国最大のスポーツ専門局の『ESPN』が、コロン投手が次回登板の内容次第で引退する決意を固めている、と報じ注目を集めていたのだが、MLB公式サイトのレット・ベリンジャー記者がコロン投手に直撃しながら記事をまとめている。

 同記事を読む限り、どうやらコロン投手は以下のように語っており、引退を真剣に考えていたわけではなかったようだ。実は彼には亡き母との約束があるため、現在も現役続行に強い思いがあることが明らかになった。

 「(引退は)それほど真剣に考えていなかった。なるようにしかならない。自分は母とある約束をしていて、それを実現したいと思っている。来年がその年なんだ。母が亡くなる前にした約束であり、45歳まで投げると誓ったんだ。その約束を実現するしかないと考えている」

 コロン投手の母親、アドリアナさんは、2014年に乳がんでこの世を去っている。その亡き母と生前に約束した45歳まで現役で投げ続けるという強い意志が、現在のコロン投手を突き動かしていたのだ。

 1973年5月24日生まれのコロン投手。まさに来シーズンが約束を果たすできる年に当たるのだ。しかしコロン投手は来シーズンの契約が保証されている立場でもないし、今後も内容のある投球を続けなければシーズン途中で再び解雇されてもおかしくない状況だ。現在も常に引退と隣り合わせの状態でマウンドに向かっているのだ。

 「(前回登板は)5回に入った途端に、ガス切れ状態になってしまった。理由はわかならい。今シーズンは5回を投げきるのが難しい状態が続いているが、次回はもっといい投球ができればと思っている。ただ前回の登板(18日のヤンキース戦)よりは状態は良かった」

 コロン投手の言葉通り、今シーズンは決して納得のいく投球はできていない。だが亡き母との約束を胸に、目の前の試合で結果を出し続ける覚悟だ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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