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一世を風靡(ふうび)した孤高のクローザーがナックルボーラー転身を目指す!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
果たして孤高のクローザーはナックルボーラーに転身できるのか?(写真:ロイター/アフロ)

ブライアン・ウィルソン投手をご存知の方も多いのではないだろうか。

かつてジャイアンツで絶対的なクローザーとして活躍した投手だ。特に2010年はリーグ最多の48セーブを挙げ、チームを46年ぶりのワールドシリーズ制覇に導いた。試合を締めくくる度に胸の前で両腕をクロスするパフォーマンスと、プレーオフから伸ばし始めたあごひげとモヒカン頭がファンの間で大人気となり、サンフランシスコで一世を風靡したことで知られる。

しかし2012年にトミージョン手術(右ヒジのじん帯移植修復手術)を受け、復帰後は新たな守護神セルジオ・ロモ投手の出現でクローザーの座を追われ、2013年にはドジャースに移籍。手術前のような投球ができないまま、2014年シーズンを最後にメジャーの舞台から消えてしまった。それでもジャイアンツ7年間で通算セーブ数171、オールスター戦出場3回と、一時代を築いた投手だった。

そんなウィルソンが現在、ナックルボーラー転身を目指し、研鑽(けんさん)を重ねていると、MLB公式サイトが9日に報じたのだ。

その記事は、米国版Yahoo!スポーツのティム・ブラウン記者が、ウィルソン投手がナックルボーラー転身を目指している様子を写真付きでツイートしたというものだ。

画像は、ロサンゼルスの南カリフォルニア大のグランドで練習しているウィルソン投手が、ナックルボールの握りからボールを投げようとする姿が映し出されている。またツイートには「No beard, no spin...(あごひげもなければ、回転もない…)」という短文が添えられている。

残念ながら現時点ではこれ以上の情報が紹介されておらず、ウィルソン投手がどの程度のナックルボールを投げるのか、MLBの球団が獲得に興味を示しているのか、皆目検討がつかない状況だ。

ただウィルソン投手のナックルボーラー転身は、決して素っ頓狂な思いつきではなさそうだ。MLB公式サイトの記事に組み込まれている動画からもわかるように、ドジャース在籍時代の2014年のオープン戦でウィルソン投手がナックルボールを試投し、まずまずのボールを投げ込んでいるのだ。当時からそれなりに興味があったのは間違いないところだ。

この3月で35歳になるウィルソン投手。ナックルボーラーとして再生するには十分な時間があるといえる。果たして彼の挑戦が実を結ぶのか、かなり気になるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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