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タイタニック号とゲームの話 沈没シーンをCGで再現した動画も

河村鳴紘サブカル専門ライター
動画が公開されたゲーム「Titanic: Honor and Glory」

 今から約100年前の1912年に北大西洋で氷山に衝突して沈み、1500人以上が犠牲になった悲劇の豪華客船「タイタニック号」。海底に横たわる同号の残骸見学ツアーに向かった深海潜水艇が大西洋で消息を絶った痛ましい事故が多くのメディアで報じられています。

 タイタニック号は当時、世界最大の客船で、最新技術を詰め込んで「不沈船」と言われたにもかかわらず、悲劇が起きてしまいました。当時はもちろん、歴史に残る出来事であることに異論をはさむ人はいないでしょう。

 そして今夜フジテレビ系で放送される映画「タイタニック」(1997年公開、ジェームズ・キャメロン監督)をはじめ、多くのコンテンツの舞台やストーリーになりました。もちろんゲームも例外ではありません。そこで三つの作品を紹介します。

◇タイタニック号の船内を”探検”

 タイタニック号を扱ったゲームと聞いて、最初に頭に浮かんだのが「タイタニックミステリー」(1987年、学習研究社)です。家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」のディスクシステム用ソフトで、沈没した船内を調査していく内容は、当時のゲームではあまりなかったコンセプトでして、子供たちの冒険心をくすぐりました。ただしタイタニック号は水深4000メートルにありまして、ゲームだからこその設定といえます。なおゲームは難しくてクリアできませんでしたが、今だに覚えているほどインパクトのある作品でした。

 今はレトロゲームを遊ぶ人もいて、同作をプレーして体験記を書いている方もいます。昔の作品が割とみられる映像と違って、ゲームはプラットフォームが定期的に変わるため、なかなか遊べなくなるわけでして、課題の一つになっています。

◇空に浮かんだタイタニック号

 続いて紹介するのは、麻宮騎亜さんの人気マンガ「サイレントメビウス」を原作にした同名のPC向けゲーム(1990年発売、ガイナックス)です。沈んだはずのタイタニック号とされる巨大な豪華客船が東京の空に出現し、女性隊員たちと共に主人公(プレーヤー)が船に乗り込み、事件解決に乗り出す……というコマンドを選択する形式のアドベンチャーゲームです。

 当時のガイナックスは人気作を生み出していて、同作も話題になった作品の一つです。原作マンガの雰囲気をうまく再現したオリジナルストーリーで、サービスシーンもあったり、当時は話題になったのを覚えています。レトロゲームの配信サイト「プロジェクトEGG」で今もプレーできます。

◇沈没シーンをリアルなCGで

 最後に紹介するのは「Titanic: Honor and Glory」です。タイタニック号事件の再現を目指しており、2016年に公開された動画(約2時間46分)には、タイタニック号の内部、浸水の様子、救命ボートの脱出シーンなどがCGで再現されています。現在は体験版のみの配信で、発売日はまだ発表されていませんが、完成時は話題になるのではないでしょうか。同時にゲーム技術の進歩も実感できますね。

 タイタニック号の悲劇は、クリエーターたちの心を刺激する一面があるのも確かなのです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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