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ワールドカップにおける日本代表の評価 世界的人気のサッカーゲームから見ると…

河村鳴紘サブカル専門ライター
エレクトロニック・アーツのサッカーゲーム「EA SPORTS FIFA 23」

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会が20日に開幕。W杯は「世界最大のスポーツイベント」と言われていますが、普段はサッカーを観戦しない人には、話題になりそうだから理解したいけれど大変だったりしないでしょうか? そこで世界的な人気サッカーゲーム「EA SPORTS FIFA 23」(エレクトロニック・アーツ)を使って、各チームの立ち位置に触れてみます。

 「EA SPORTS FIFA 23」は、W杯カタール大会の公式ゲームが遊べるモードを搭載しています。ゲームの利点の一つは、選手やチームを数値化しているため、おおよその強さが誰にでも分かることです。

 現実のスポーツ競技は、ハイレベルの戦いになると勝負はちょっとしたことで変わるため、識者であっても見解や予想が分かれます。W杯の日本代表は、ロシア大会や南アフリカ大会のときは「予選突破は無理」とメディアにたたかれていましたが、実際は予想を覆して決勝トーナメントに進みました。一方でドイツ大会やブラジル大会は「行ける!」という論調でしたが、残念ながらグループリーグ敗退となりました。

 ちなみに日本代表とドイツ代表の対戦について、サッカーをあまり知らない人から「日本の選手ってドイツで活躍しているんでしょ? だったら、いい勝負をするのでは」という意見を聞かされました。わかりやすく説明するのは、なかなか難しいのです。

 その点、サッカーゲームはデータなので、誰が見ても明確です。そして、ゲームのデータは、サッカー好きの厳しい視線、時には選手自身から異議を唱えられたりしています。もちろん、万人が納得できるわけではないでしょうが、ゲームのデータを一つの指標として考えるのは有効と言えるのではないでしょうか。

◇日本代表は弱いの?

 さて出場チームは、攻撃、中盤、守備の三つの数字で評価されています。そこで三つの数字を足した数字で並べて、上位チームを紹介します(カッコ内の数字は、攻撃・中盤・守備の順番です)。

 トップは、サッカー王国・ブラジルの253(85・85・83)。続いて、アルゼンチン(86・84・82)とイングランド(86・83・83)の252。そしてドイツ(84・85・82)とスペイン(83・85・83)の251となります。

 前のロシア大会の覇者、フランスは250(86・82・82)で、相次ぐ主力の離脱が響いた形ですが、それでもなお高い評価です。他には、ポルトガルが同じ250(83・83・84)、オランダが247(82・82・83)という設定。FIFAランキングとは違う一面が見えます。

 日本代表の評価は229(75・78・76)。同じE組のライバル・コスタリカは223(77・73・73)でした。E組で日本と対戦するドイツとスペインの圧倒的な強さが、数字からも何となく想像できるのではないでしょうか。

 サッカーの歴史がある欧州と南米はやはり強く、新興のアジアは厳しい戦いを強いられる傾向にあり、実際のW杯の成績にも反映されています。そして同時にゲームにもきちんと反映されているのです。

 ですがよく見ると、日本代表の評価は、E組最下位でなく3番手です。ついでに言えば、アジア・オセアニアでは最上位の評価でして、韓国の227(79・74・74)、イランの226(81・73・72)を上回っています。アジア・オセアニア予選の結果に加え、欧州の有力リーグに多くの選手を送り込み、活躍しているからこそでしょう。

 今回の選手選考で、海外の有力クラブで活躍している選手がメンバー入りできないことなどに異論が出ましたが、裏を返すと選手層が厚くなっているともいえます。1994年の米国大会の予選では選手層が厚いとはいえず、本大会出場を逃した一因になったことを考えると、わずか30年で驚くべき進歩ではないでしょうか。

 ともあれ、日本代表の評価ですが、世界トップと比べると劣るのは確かですが、それは優勝を狙う強豪国以外にも言えることです。日本の奮闘に期待し、前評判を覆す意地を見せてほしいところです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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