ソニー「PS5」発売は予定通り? 「PS4」急ブレーキもサブスク効果【決算解説】

ソニー本社=筆者撮影

 ソニーの2020年3月期の連結決算が発表され、売上高は前年同期比4.7%減の約8兆2599億円、本業のもうけを示す営業利益は同5.5%減の約8455億円でした。うちゲーム部門(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)は、前年同期比14.4%減の約1兆9776億円、営業利益は同23.3%減の約2384億円でした。

◇ゲーム事業 低調でも優等生

 ゲーム事業は、5~6年周期で乱高下を繰り返すビジネスの宿命とはいえ、依然としてグループの優等生です。だからこそ落ち込みが目立てば、記事には「ゲーム部門は苦戦」と書かれてしまいます。新型ゲーム機「PS5」が出るまでは、復調要因もありません。

 PS4の出荷数ですが、2020年1~3月は約150万台でした。前年同期(2019年1~3月)は約260万台で、四半期(3カ月単位)で200万台を切るのは初めてです。累計こそ1億1000万台を突破しましたが、売り続けるには、値下げなど何らかのテコ入れが必要になりそうです。

 しかし2021年3月期の決算は原則、ゲーム事業としてはPS5が出るまで我慢あるのみです。こうなることは分かっていたし、次のステップアップのための必要な痛みです。ソニーは、ゲーム以外にエレクトロニクスや音楽、映画、金融などの事業を持つ複合企業なので、ゲーム事業の視点で言えば「他の事業がカバーして!」でしょう。そして、やっかいなことに新型コロナウイルスの感染拡大で、ゲーム以外の事業も大変なのが皮肉といえます。

 なおゲーム事業は、決算でコロナの影響について「業績面ではポジティブな影響を受けている事業」となっています。それは、会員数4150万人のサブスクリプション(定額利用)のネットワークサービス「プレイステーションプラス」です。2020年3月期の1年間で約500万人を増やしています。これが減益に一定の歯止めをかけたわけです。

 一方で、昔のゲームが楽しめる、もう一つのサブスク「プレイステーションナウ」は、決算で触れられてないところを見ると、好調とは言い難いようです。

◇PS5は「年末商戦期」発売と方針変えず

 ソニーは「PS5は当初の予定通り、年末商戦期に発売予定」「ゲームソフトウェア開発で顕在化している大きな問題は現時点ではなし」と明言しました。情報開示の積極性という意味では、このメッセージは評価されるでしょう。しかしコロナの影響は開発よりも、ゲーム機を生産する方で出ると考えるべきです。最近では、任天堂の「ニンテンドースイッチ」が慢性的な品不足になった例もあります。

 価格が未発表でまだ不明な点もありますが、PS5は前評判で言えば、世界的に品薄になる可能性がある商品です。事実、PS4の発売から半年、欧米では品不足になりました(日本は影響なし)。2021年3月期の通期予想は、コロナを理由に計画数字の公表を見送るなど、先行き不透明と言っています。PS5の発売時期は予定通りとしても、相応の数が出るのか。そこは注視するほうが良いかもしれません。

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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