グリーやDeNA 新興ゲーム会社の苦戦なぜ続く

東京証券取引所(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 グリーやDeNA、mixiといったスマホゲームを主力事業とする新興ゲーム企業の決算が発表されていますが、業績が芳しくありません。決算短信を見ても、減収・減益を意味する「△」のマークばかりです。一時期は、専用ゲーム機の苦戦とは対照的に、業績は絶好調でした。なぜいまだに苦戦が続くのでしょうか。

 ◇売上高はピーク時から半減

 立て続けに発表されたグリーとDeNA、mixiの決算を見ると、いずれも売上高と営業利益の両方が前年同期比を下回る「減収減益」です。「事業拡大こそ正義」と見なし、増収増益を求める株主には当然嫌われます。そこで、3社の最新の業績を並べてみます(カッコ内は前年同期比)。

グリー 2020年6月期第1四半期決算(10月発表)

売上高 約158億円(13.0%減)

営業利益 約12億円(27.2%減)

DeNA 2020年3月期第2四半期決算(11月発表、中間決算)

売上高  約652億円(4.3%減)

営業利益 約50億円(52.7%減)

mixi 2020年3月期第2四半期(11月発表、中間決算)

売上高 約468億円(34.1%減)

営業利益 約40億円(80.5%減)

 見事なほど、前年同期比「減」ばかりです。ちなみにピーク時(1年間)の売上高ですが、DeNAとmixiが2000億円以上、グリーが1500億円以上で、営業利益率はいずれも4割台や5割超(700億~900億円)と化け物のような数字でした。ピーク時とざっくり比べると、3社とも売上高が半減といったところで、営業利益率は1割を切りましたから散々です。グリーのピークが12年6月期、DeNAが13年3月期、mixiが16年3月期で違いはありますが、全体的に減収減益の流れが止められず、次の成長の兆しが見えていません。

 ◇新作ゲーム投入も自社のヒット作が邪魔

 なぜ厳しいかと言えば、ピーク時に続くヒットコンテンツを送り出せていないからです。さらにスマホゲームはユーザーが長く遊ぶ特性上、ビッグネームの新作ゲーム以外は注目されづらい傾向にあります。要するに自社のヒットゲームが邪魔になる産業構造なのです。業績を維持するなら、むしろヒットゲームをできるだけ引っ張っていくことが重要です。理想はヒットゲームが緩やかに右肩下がりになり、代わりに自社の新作ゲームが盛り上がればいいのですが、ライバルのゲームが多く、なかなかうまく行かないのです。

 もちろん各社ともその矛盾や弱点は分かっていますから、新作ゲームの開発と共に、新規事業にも力を入れています。ただそれが計画通りに行けば誰も苦労しません。特にDeNAとグリーはソーシャルゲームで大成功したため、スマホゲームの流れに遅れていることも大きいでしょう。成功が次の失敗の原因になるというパターンですね。

 もう一つ。3社は、ファミコン時代に勃興した古参のゲーム会社と比べて歴史が浅く、知名度の高いコンテンツ数も不足していますから、それも不利に働きます。以前にも触れましたが、ゲームの売れ行きはバクチ的な要素が強いので、ゲームのタイトル数が少ないと事業として安定しないのです。

【参考】ゲーム開発はバクチ的 経営者のボヤキと本音

 特にmixiは「モンスト」頼みで、その好例と言えます。同社は減収減益について「前年同期と比較してARPU(1ユーザーあたりの平均収益)が低下した」と分析しています。それは事実なのですが、本質的にはあまりにも「モンスト」がヒットしすぎて事業の依存度が高まり、モノカルチャー経済的な事業構造になった以上、誰が経営をしても似たようなことになるでしょう。

 かつてのエニックス(現スクウェア・エニックス)は「ドラゴンクエスト」シリーズ、スクウェア(同)は「ファイナルファンタジー」シリーズが出たときだけ爆発的な売上高と営業利益を記録していましたが、それと同じことです。そして、スマホゲームはその特性上、専用ゲーム機用ソフトのようにすぐ続編を出してヒットを見込めるわけではないので、「今後は大丈夫?」となるわけですね。

 逆にCygamesなどのゲーム事業を持ちながら、広告やメディア事業も多角展開するサイバーエージェントは、売上高が順調に拡大しています。バンダイナムコやスクウェア・エニックスなど古参のゲーム会社も、専用ゲーム機向けソフト、スマートフォン用ゲーム、アーケードゲームをそれぞれ展開し、ゲーム以外の事業も含めて多角化を図っていますね。ちなみにDeNAは、ご存知の通りプロ野球事業を展開していますが、売上高の比率では約4分の1ですから、ゲーム事業への偏りが依然として大きいのです。また同社はキュレーションサイトの問題でつまずいていますから、新規事業により慎重になるのは仕方のないところです。

 DeNAやmixi、グリーの3社に共通するのは、業績の急拡大の反動に苦しんでいることですね。特にグリーはVRや動画などの新規事業に手を出しているものの、結果が出ていません。さらに同社は「業績見通しについて適正かつ合理的な数値の算出が困難」とし、連結業績予想の開示を見合わせました。これも確かに事実なのですが、ゲームは元々、他産業に比べても先が読めないビジネスでもあります。業績が良いときは開示して都度上方修正していくのですから、「逃げた」と取った人がいても仕方のないところでしょう。

 ですが3社とも、現状は営業利益がきちんと出ていますし、赤字になったとしてもまだ相応の現金もありますから、すぐ悲観することはありません。再び成長軌道に乗せるための特効薬はありませんから、「ホームラン頼み」にならないよう多角化で事業の安定化を図りつつ、打席数を増やして次の「ホームラン」を狙うのが回り道に見えて“正攻法”と言えそうです。ゲーム業界のツートップの任天堂やソニーも今でこそ好成績ですが、当然ながら新興企業の時代はありましたし、赤字で苦しんで批判されたことはあるのですから。