Yahoo!ニュース

この新加入選手5人がすごい!Jリーグの2024シーズンで、スペシャルな輝きを放つ(J1編)

河治良幸スポーツジャーナリスト

来月に迫った2024シーズンのJリーグ。先に「チームを躍進に導く!2024年Jリーグ期待のレンタルバック11」をアップしましたが、今度は新天地で輝きを放つ新加入選手を筆者の目線で、5人を厳選しました。まずはJ1編です。もちろん活躍が期待される選手は多くいますが、新天地の環境で能力がさらに引き出されそうな選手たちを選んでいます。

チアゴ・サンタナ(浦和レッズ)

清水でJ1、J2通して3シーズン連続二桁得点を記録した安定感は知られるところですが、新天地となる浦和では左右ウイングに良質なタレントが揃い、これまで以上の得点アップも狙えます。さらに、そうしたウイングや二列目から飛び出してくる選手のゴールをアシストするシーンも多く見られるかもしれません。沖縄キャンプではいきなりチームにフィットした感があり、J1得点王の有力候補でしょう。浦和の外国人の例に漏れず、すでに”納豆デビュー”は果たしていますが、ソルバッケンやグスタフソンといった”北欧組”との関係構築も活躍の鍵になりそうです。

山田康太(ガンバ大阪)

横浜F・マリノスのアカデミー出身で”プリンス”の愛称で親しまれたタレントですが、外に出場機会と成長の場を求めて、名古屋グランパス、水戸ホーリーホック、モンテディオ山形と渡り歩き、昨シーズンは柏レイソルで主力を担いました。元々ポリバレントな才能を備えていましたが、前目のポジションでクリエイティブな能力が開花。新天地のガンバでもボールを動かして崩すスタイルにあって、9.5番のような役割が予想されます。

経験豊富なMFの倉田秋も「康太は面白い」と認めており、その倉田や宇佐美貴史とのコンビネーションが勝機につながりそうです。あとは得点やアシストという目に見える結果をどれだけ積み重ねることができるかが成功のバロメータでしょう。

石田雅俊(ジュビロ磐田)

Jリーグを通じても、今シーズンのスペシャルヒットになる可能性を秘めたタレントです。市立船橋高の出身で、京都サンガでプロ入りしましたが、なかなか芽が出ないまま2019年に韓国へ渡ります。2部にあたるKリーグ2という厳しい環境で自分の課題に向き合い、現地での評価を高めました。ゴール数はKリーグ2とKリーグを合わせて、6年間でリーグ戦44得点。登録上はMFですが、前目のポジションであればどこでもこなすセンスと高い集中力で、抜け目なくゴールを狙います。

J1の福岡から加入したMF中村駿は習志野高の出身で、2学年下だった石田を見て「めちゃめちゃ良い選手」と驚いた記憶があるそうです。その二人が磐田の地で名コンビを築くのもドラマかもしれません。事前に対戦相手のディフェンスを徹底研究するという石田は科学的な理性と本能的な野生を融合して、Jリーグのゴールをこじ開けます。

エリソン(川崎フロンターレ)

沖縄キャンプで札幌とのトレーニングマッチを観たのですが、川崎にもゆかりのある元ブラジル代表のフッキを思い浮かべずにはいられないフィジカルの強さと推進力、そしてブレない技術の持ち主です。それでいて献身的で、分かりやすく言えば戦う気持ちが伝わってくる選手です。ブラジルの名門サンパウロからの加入。もともと市場価値の高い選手で、鳴物入り感もありますが、現時点の期待値以上にJリーグでブレイクする可能性があります。J1王者に返り咲くことはもちろん、ACL制覇が悲願となる川崎にとっては理想的なタレントの一人と言えるかもしれません。

あとはコンビネーションを重視する川崎での連携面、目に見える姿勢がシーズン通して持続していくかなど、未知の部分はありますが、能力スペックの高さを考えれば、1年目でベスト11も射程圏内かもしれません。24歳という年齢もあり、ここから価値をさらに高めて欧州などで飛躍するにしても、川崎で長くクラブを支えるにしても、先が楽しみな選手です。

山村和也(横浜F・マリノス)

川崎フロンターレから同県のライバルにやってきたことで話題を集めた感もありますが、マリノスが年間を通して多くの試合をこなしていく上で、欠かせない存在になりうる戦力であることは間違いありません。センターバック、ボランチ、二列目、必要ならFWもできるセンターラインの超万能型です。

ポジションごとに評価したら2番手、3番手だったとしても、多様なポジションで計算できるため、少なくとも”12人目のレギュラー”として、毎試合どこかしらで起用されることが想定できます。何より経験が豊富で、しかも落ち着いているので、周囲に与える安心感は大きいはず。

しかも、決してベンチを汚さないメンタリティという意味でも、競争力がそのままチームのパフォーマンスに出るマリノスではすごく大事なことです。ある意味で縁の下の力持ち的な役回りになるかもしれませんが、シーズンの中でチームを救うビッグプレーをやってのける爆発力も秘めている選手です。もしマリノスがリーグ優勝やアジア制覇など、大きなタイトルを掴んだ時に、あそこで山村の助けがあったからと振り返ることになるかもしれません。

筆者が選ぶ期待の新加入選手

鍬先祐弥(ヴィッセル神戸 ←V・ファーレン長崎)

平野佑一(セレッソ大阪 ←浦和レッズ)

井上詩音(名古屋グランパス ←ヴァンフォーレ甲府)

ギリェルメ・パレジ(鹿島アントラーズ ←CAタジェレス)

長谷川元希(アルビレックス新潟 ←ヴァンフォーレ甲府)

高宇洋(FC東京 ←アルビレックス新潟)

長谷川竜也(北海道コンサドーレ札幌 ←東京ヴェルディ)

中谷進之介(ガンバ大阪 ←名古屋グランパス)

平川怜(ジュビロ磐田 ←ロアッソ熊本)

山田楓喜(東京ヴェルディ ←京都サンガ)

写真:山村和也(C:NN)

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

河治良幸の最近の記事