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元日タイ戦!”森保ジャパン”2024最初のスタメン予想

河治良幸スポーツジャーナリスト

森保一監督が率いる日本代表は2024年の元日、今年最初の試合となるタイ戦を国立競技場で行います。

合宿の初日から3日間が公開された今回。最終調整となる国立での前日練習は冒頭15分間の公開でしたが、それまでに11対11のゲーム形式の練習でヒントは出ており、森保監督もタイ戦のスタメンを想定したものであることを認めて、次のように語っています。

「ベースの力を持っていることと、個々のスペシャルな武器を持っている選手たちを招集させてもらっています。初めてA代表の戦いをする選手、そして経験値の浅い選手がプレーする中で、何よりも思い切って自分の良さを出して欲しい。個々の能力の中で、チームとして繋がれる能力も求めていますので。自分の武器を思い切り出してもらいながら、チームメートの良さも出せるように意思疎通をはかって、アグレッシブにプレーしてもらいたい」

その想定されるスタメンはこちら。

1つ注目は1トップの細谷真大(柏レイソル)です。前提として上田綺世と浅野拓磨が別メニューで、この二人に関してはタイ戦で起用しないことを森保監督も名言しています。細谷はパリ五輪世代、前回は追加招集ですが、シリア戦では伊東純也のアシストからダメ押しとなる5点目のゴールを決めています。

「FWとしての仕事をしっかりしたいですし、やっぱり出ている以上はしっかり日の丸を背負って プレーをしたいと思ってます」

そう語る細谷にはここでエースに名乗り出るぐらいのパフォーマンスを期待したいですし、どんどんパリ五輪世代が食い込んでくる先導者のようになることを期待しています。また細谷が途中交代する場合、南野拓実(スタッド・ランス)が出場すると考えられます。

南野は2列目がメインの選手ではありますが”第一次・森保ジャパン”ではしばらく1トップを担ったこともあり、起用に問題はないでしょう。さらに堂安律(フライブルク)や伊東純也(スタッド・ランス)を”ゼロ・トップ”的に起用する想定はあるようです。彼らに関しては右サイドがスペシャルであることは認識した上で、ポリバレントな役割をこなすことも、アジアカップを想定したら有意義かもしれません。

2列目は右が経験豊富な伊東ですが、初招集の伊藤涼太郎(シント=トロイデン)と二度目の招集となった奥抜侃志(ニュルンベルク)のスタメンが予想されます。伊藤涼はテクニカルな攻撃的MF。所属クラブではボランチもやっていますが、森保監督は4ー2ー3ー1なら”10番ポジション”とも言われるトップ下、4ー3ー3ならインサイドハーフを想定しているようです。タイ戦は前者がスタートになりそうです。

「アジアカップにも選ばれたいですし、今回の1日の試合ってのはすごい自分にとってアピールのチャンスだと思うんですけど、正直、アジアカップが全てじゃない。その先のワールドカップだったり、その先の自分のチームでの活動だったり、そういったところに繋がるようなプレーっていうのをしたい」

そう語る伊藤涼が”森保ジャパン”に新たな武器をもたらせば、ハイレベルな2列目の競争がより活性化してくるはずです。奥抜は右利きの左サイドアタッカーで、大宮時代はカットインのスペシャリストとして名を上げました。しかし、ポーランドのグールニク・ザブジェ、さらにドイツ2部で挑戦する中で、縦に仕掛ける大事さを学んでおり、現在は状況に応じてどちらも繰り出せるドリブラーに進化しています。

今回は三笘薫(ブライトン)が不参加であることに加えて、中村敬斗(スタッド・ランス)がまだ怪我から回復途上であること、さらに浅野が別メニューであることも、奥抜にスタメンのチャンスが回ってきた要因ではあると思いますが、10月の活動では合流してすぐにコンディション不良となり、ほとんどアピールできなかった悔しさを元日の試合でぶつけて欲しいと思います。

ボランチは田中碧(デュッセルドルフ)と二度目の招集となった佐野海舟(鹿島アントラーズ)のコンビとなりそうです。このメンバー構成であれば、田中が欧州遠征のトルコ戦以来、キャプテンマークを巻く可能性が高いでしょう。佐野は前回ミャンマー戦で45分プレーしていますが、遠藤航(リバプール)や守田英正(スポルティング)がクラブ事情でおらず、伊藤敦樹(浦和レッズ)もいない今回は大きなチャンスです。また6月にコンディション不良で離脱して以来の招集となった川村拓夢(サンフレッチェ広島)にも少なからずチャンスが与えられるはずです。

4バックは右から毎熊晟矢(セレッソ大阪)、藤井陽也(名古屋グランパス)、町田浩樹(サンジロワーズ)、森下龍矢(名古屋グランパス)となります。毎熊は9月の欧州遠征から継続的に呼ばれて、すでに3試合に出ています。もう常連に近いですが、菅原由勢(AZ)が現時点のファーストチョイスであることは間違いないだけに、主力を奪いに行く挑戦になります。

藤井は3月の初招集から二度目ですが、前回は出場機会がありませんでした。ベルギー1部のアンデルレヒト移籍が決定的という報道もある中で、代表活動でしっかりと結果を残すことに集中しているようです。町田は9月のトルコ戦から5試合続けて出場しており、もう当落戦場から1つ前に出た状況ですが、今回はアジアカップに向けて、さらに存在感を示していくべき試合となります。

森下はポーランドの名門レギア・ワルシャワに移籍することがクラブ間で合意しており、おそらく”国内組”としては最後の代表戦になります。「日本代表サポーターの方々のためにも戦いたいし、名古屋グランパスの皆さんのために、集大成というか、育ててもらってありがとうという感謝の気持ちを言葉で伝えても伝わらないんですよねなかなか(笑)。だからピッチで伝えたい」と語る森下は守備の成長をしっかりと見せながら、持ち味である鋭い攻め上がりを出せるか。奥抜とのフレッシュな左のコンビにも期待です。

GKは前川黛也(ヴィッセル神戸)です。鈴木彩艶(シント=トロイデン)が2日目からの合流だったこともありますが、初スタメンで安定した振る舞いを見せられるか。大迫敬介(サンフレッチェ広島)のアジアカップ欠場は確定的で、父・和也氏に続く親子二代でのアジアカップに向けて、良いパフォーマンスに期待したいところです。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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