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国内外の復帰組に新顔も。半数入れ替えが見込まれる”森保ジャパン”10月シリーズの26人を大胆に予想。

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

10月に国内でカナダ、チュジニアと親善試合を行う”森保ジャパン”。ドイツ、トルコという欧州の強豪を相手に2連勝、8得点を奪った9月シリーズから約半数を入れ替えると考えられます。

そこから11月のW杯アジア二次予選、さらに来年のアジアカップに向けたメンバーを見極めていくことになりますが、アジアカップも完全なフルメンバーで臨むかどうかは不透明な中で、今回のシリーズでアピールした選手がどこまで割って入れるかも注目になります。

1つ鍵になるのはここまで継続的に招集されてきたメンバーから誰が外れるか。森保一監督が実力が分かっていることが前提で、クラブの過密日程で疲労が出てきていたり、今は新天地でポジションを確立する方が代表にとって有益と考えられるメンバーは外れる対象になりうる。

もう1つはプレミアリーグ挑戦から間もないキャプテンの遠藤航(リバプール)を外した場合に、代わりにリーダーシップを取っていく選手が必要になります。前回のトルコ戦では田中碧(デュッセルドルフ)がゲームキャプテンを務めたが、やはり板倉滉(ボルシアMG)は招集すると見ています。

GKは24歳の大迫敬介(サンフレッチェ広島)を残して、前川黛也(ヴィッセル神戸)とパリ五輪世代から鈴木彩艶(シント=トロイデン)を選びました。前川は191cmのハイスケールなGKで、2年前の3月に招集されていますが、キャッチングやハイボールの処理が上がっており、能力的には代表にも相応しいと思います。

鈴木彩艶は大岩剛監督が率いるUー22日本代表の米国遠征もありますが、アジアカップU-23予選と時期が重なった前回シリーズをのぞき、これまでも五輪世代からA代表に招集されていることから、1人ないし2人は呼ばれるのではないかと思います。そこからパリ五輪世代のエース格であるFWの細谷真大(柏レイソル)と共に、こちら側にピックアップしました。実力的には西川周作(浦和レッズ)も有力ですが、よほど強い理由がない限りはルヴァン杯の準決勝を戦う4クラブからは優先順位を下げています。

最終ラインは右サイドバックが前回から引き続き、橋岡大樹(シント=トロイデン)と毎熊晟矢(セレッソ大阪)を想定しました。同ポジションの主力である菅原由勢(AZ)は外し、二人に競わせる構図です。センターバックは前回から板倉と町田浩樹(サンジロワース)を残して、ベルギーで活躍が目覚ましい渡辺剛(ヘント)を加えています。リストには入れられませんでしたが、3月に招集された藤井陽也(名古屋グランパス)がここで呼ばれる可能性もあります。

左サイドバックは9月に2試合フル出場した伊藤洋輝(シュトゥットガルト)はここで呼ぶ必要が強くは無いので、アキレス腱の負傷から復帰してきた中山雄太(ハダーズフィールド)と前回出場のなかった森下龍矢(名古屋グランパス)の二人。J1首位の神戸で好パフォーマンスが目立つ初瀬亮も評価を上げているように思いますが、横浜F・マリノスとの試合で頭部にアクシデントがあり、今回は対象外としました。

ボランチは前回から伊藤敦樹(浦和レッズ)と田中碧(デュッセルドルフ)を残して、ベルギーの新天地で好調の川辺駿(スタンダール・リエージュ)に加えて”初招集”となる樋口雄太(鹿島アントラーズ)を選びました。攻守で多様なタスクをこなしながら、3得点12アシストをあげており、日本代表の課題であるセットプレーのキッカーとしても面白い存在になりそうです。

伊藤敦樹はルヴァン杯を優先で浦和に残すという選択肢もありますが、待望の大型ボランチが代表定着に向けて伸びてきていること。今回は国内で移動の負担も無いことから遠藤や守田英正(スポルティングCP)に本当の意味で競争を挑んでいく存在になれるか。田中碧に関しては外す側にするか迷いましたが、あまり多く入れ替わるとチームの軸が弱くなってしまうので、板倉と共にリーダーシップのところも期待して残しています。

旗手怜央(セルティック)は復帰間もないのと、カタール後に招集しているので、ここで無理に招集する必要はないですが、ある意味”旗手システム”とも呼べる4ー1ー4ー1のインサイドハーフだけでなく、可変型の4ー2ー3ー1で改めてチェックする意図や今後の主力になりうる旗手に、アップデートの進む代表のコンセプトを共有してもらう意味で招集する可能性はあると思います。

また二列目で入れた満田誠(サンフレッチェ広島)も機動力を生かして、怪我から復帰後は攻撃的なボランチとして評価を高めているので、複数ポジションで考えられるかもしれません。もちろん同じ広島で、6月の代表メンバーに初招集されながら、怪我で離脱した川村拓夢も有力候補です。

二列目はリーグアンでの活躍が目覚ましい南野拓実(モナコ)のカタールW杯以来の復帰に期待します。10番は堂安律(フライブルク)が付けているので、同時に招集となれば背番号は新しくなるかもしれませんが、フィジカル的にもメンタル的にも充実感のある南野が現在のチームにどいうフィットするのか。モナコは欧州カップ戦も無く、過密日程による体力的な影響も無いと考えられるので、今回招集されないと疑問が残ります。

セリエAで1シーズン目の鎌田大地(ラツィオ)に代わっては伊藤涼太郎(シント=トロイデン)をチョイス。より10番のタイプですが、ベルギーで力強さとタフさを高めており、日本代表に新たなアクセントを加えてくれる存在として期待です。久保に関しても無理する必要はないですが、年齢的に若いことと、日本代表で自信を高めている段階なので残しています。さらにフレッシュなメンバー構成にする場合はアペルカンプ真大(デュッセルドルフ)なども候補になってくるかもしれません。

左は代表の中心選手として確立しているだけでなく、やや疲れも見られる三笘薫(ブライトン)は右の伊東純也(スタッド・ランス)と共にお休みで、中村敬斗(スタッド・ランス)や前田大然(セルティック)により多くの出場時間を与えるチャンスと見ます。また”国内組”からの初招集で佐々木大樹(ヴィッセル神戸)を加えました。布陣では左サイドに置いていますが、クラブではインサイドハーフもこなしており、満田と同じく攻撃的な複数ポジションでの活躍が期待できます。

テクニックとフィジカル的な強さの両方を備えており、ブラジルでの経験もあってか、大迫勇也や武藤嘉紀など代表経験の豊富な選手とたちと組んでも、物おじすることなく持ち味を発揮できること。またJ1の首位を走る神戸が日本代表の求める守備の強度というところを出しているので、現在の代表にも割とすんなり入っていけるのではないかと思います。

1トップは上田綺世(フェイエノールト)が前回の活動で負傷離脱したこと、さらにはオランダの名門で信頼を高めていかないといけない時期なので、すでに復帰はしていますが、国内で活動する10月シリーズからは外れるか。その代わりにドイツ2部で奮闘中の町野修斗(ホルシュタイン・キール)が復帰すると見ます。

細谷はパリ五輪世代ですが、現状エース格として確立されている中で、このタイミングでA代表を経験することは”A代表経由パリ行き”を掲げるパリ五輪にも生きてくると思います。逆にU−22日本代表は他の選手にチャンスを与える方がベターと見ました。古橋亨梧(セルティック)は浅野拓磨(ボーフム)とどっちを残すか悩みましたが、浅野に関してはずっと呼ばれ続けているので、今回は選外とします。

今回はフルメンバーではないという仮定で、これまで招集されているメンバーは実力的な評価よりも、クラブでの状況や体力面、国内の親善試合に招集する”費用対効果”などを考えて、前回から12人を残し、14人を入れ替えました。復帰組もいれば初招集の新顔もいますが、9月のシリーズで現段階のベストメンバーが日本代表の進化と成長を証明した後で、あまりチームが固定化していくのは色んな状況を考えてリスクがあります。また日本サッカーの競争力を促すという意味でも、国内外で活躍が目立つ選手をどんどん入れて、活性化していくことを期待します。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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