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ルヴァン杯はGSクライマックスへ。突破のヒーローになる期待の7人

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ルヴァン杯のグループステージも残すところ2節となりました。第5節は24日に19時もしくは19時半キックオフで、一斉に行われます。各組の1位+2位から成績の良い3クラブ、合計8クラブがノックアウトステージの準々決勝に進出します。チームを突破に導くヒーローになる、期待の7人を記者の目線でピックアップしました。

A組 スパチョーク(北海道コンサドーレ札幌)

”チェック”の愛称を持つタイ代表アタッカーは鋭い動き出しと技巧的なシュートで、札幌でも異彩を放っている。第4節の鳥栖戦で鮮やかな2ゴールを決めて、4ー1の勝利に導いた。J1の湘南戦でもチームの4点目を決めるなど、リーグ戦でも徐々に絡めているが、小柏剛、浅野雄也、駒井善成のトリオが好調を続ける中で、ジョーカー的な位置付けになっている。同月22日に25歳の誕生日を迎えたスパチョークが、勝てば突破に大きく前進するマリノス戦で”バースデーゴール”なるか。

→マリノス戦:フル出場(3ー2勝利)

B組 小林悠(川崎フロンターレ)

川崎でルヴァン杯と言えばこの男だ。現役選手としては浦和の興梠慎三に次ぐリーグ戦の得点数を誇るストライカーだが、カップ戦の勝負強さも折り紙付きだ。2019年の決勝では2得点で初優勝に導き、グループステージからの参戦となった2020年には5試合4得点を記録した。ただ、その後は同大会で得点が無い。現在2位で勝ち点5の川崎が突破を確実にするためには、残り2連勝が求められる。ここまで幾度もチームを救ってきた小林が、ここでもヒーローになれるか。

※劇的な今季初ゴールで勝利に導いた川崎フロンターレのエース小林悠。アシストした大島僚太と抱き合い喜ぶ。

→浦和戦:スタメン(1ー2敗戦)

B組 ダヴィド・モーベルグ(浦和レッズ)

ここまで4試合で勝ち点4の3位と”アジア王者”はルヴァンで追い込まれている。10番を背負うアタッカーは開幕から、なかなかコンディションが上がらず、ACLファイナルの外国人枠の事情もあり、なかなかリーグ戦の出番は無い。このルヴァンで救世主的な存在になれば、改めてエースとしての力を証明することになるだろう。

→川崎戦:スタメン(2ー1勝利)1アシスト

D組 山田康太(柏レイソル)

ネルシーニョ前監督が退任となり、井原正巳新監督の元で再出発を図っているレイソル。前体制でなかなか出番がなかった”プリンス”はリーグ戦における久しぶりのスタメンとなった神戸戦で、精力的な動きでチームを活性化させた。中3日でのルヴァン鹿島戦もグループステージ突破に望みをつなぐために、井原監督が考えるほぼベストのメンバーを送り出すと予想できる。攻守の要である戸嶋祥郎が出場停止という状況もある中で、山田には鹿島の屈強なディフェンスを攻略するためのチャンスメイクが期待される。

→鹿島戦:途中出場(1ー2敗戦)

D組 昌子源(鹿島アントラーズ)

リーグ戦で好調の鹿島もルヴァンでは苦しんでおり、残り2試合で2連勝が、突破の絶対条件になりそうだ。岩政大樹監督はリーグ戦からメンバー変更を明言している。特にセンターバックは関川郁万が出場停止となるが、やはりここは昌子源の出番だろう。J1の名古屋戦、FC東京戦はベンチ入りも出番は無く、かなりウズウズしているはず。コンディションさえ良好なら実力面に疑いの余地はないだけに、ここは存在感の示しどころだ。

→柏戦:スタメン(1ー0勝利)

E組 福田湧矢(ガンバ大阪)

ポヤトス監督のもとで低空飛行の続くガンバだが、ルヴァン杯はE組の首位に立っており、今節の結果次第では最終節の”大阪ダービー”を前に、突破がほぼ確定する。開幕戦で京都を相手に先制ゴールを挙げたのが、福田湧矢だった。怪我からようやく復帰してきたアタッカーが、同じ京都を相手にチームをノックアウトステージへと導くことができるか。チームのムードメーカーでもあり、福田の活躍はリーグ戦の逆襲にもつながるはずだ。

→京都戦:スタメン(0ー1敗戦)

E組 上門知樹(セレッソ大阪)

ここまで勝ち点4の最下位。後が無いセレッソは最終節の大阪ダービーを最高に盛り上げる意味でも、FC東京戦の勝利がマストとなる。注目は気鋭のアタッカー上門知樹だ。5月7日の鹿島戦で味方のロングボールを巡り、相手DF常本の顔面をスタンプしてしまう大失態で、一発退場に。試合を壊してしまった。SNSなどで厳しい意見を覚悟したという上門に届いたのは桜のサポーターからの励ましだった。「落ち込んでたんですけど、セレッソのサポーターたちが、すごい暖かいメッセージをくれた」と語る上門は週末の湘南戦でのゴールに続き、ルヴァンでもチームを救うことができるか注目だ。

上門知樹(湘南戦後)「鹿島戦で退場しちゃって、チームにも来てくれてるサポーターにも迷惑をかけたので、どこかで取り返したいと思っていた。試合後に、退場しちゃったんで落ち込んでたんですけど、セレッソのサポーターがすごい暖かいメッセージをDMだったりSNSでくれて。それで、ここのサポーター本当に素晴らしい人ばっかだなと、改めて感じました。それがあったからこそ今日があると思うので。あのゴールはサポーターに決めさせてもらったものです。(誹謗中傷は)僕自身すごく怖かったというか・・・そういう思いもあったんですけど、何一つなく、みなさん本当に暖かいメッセージをくれましたし、これだけサポーターに愛されてるんだなと。サポーターのために、このチームで優勝したいという気持ちが強くなりました」

→FC東京戦:スタメン(スコアレスドロー)

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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