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2022Jリーグは最終局面へ。J1残留争いのキーマン7人

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

シーズン中最後の国際Aマッチデーが終わり、Jリーグはいよいよ最終局面に突入します。レースに例えたら第四コーナーを既に回って、最後の直線も半ばというところでしょう。

優勝争いも気になりますが、残留争いは大混戦となっています。J2との入れ替え戦となる16位も含めて、現在の勝ち点に残り試合数を足して40未満の7チームから残留のキーマンを筆者の視点で選びました。

数字上は残留が確定していない北海道コンサドーレ札幌は川崎フロンターレ戦の前から今回は対象外にしていましたが、激戦の末、後半アディショナルタイムに小柏剛が劇的なゴールを決めて、4-3という勝利でさらに大きく前進しています。

※10/1-2の試合結果を受けて一部情報を更新

ヴィッセル神戸(30試合 勝ち点34)

武藤嘉紀

中断前のガンバ大阪戦は二発を決めた大迫勇也にスポットが当たったが、セットプレーからのPK獲得と技アリのアシストで2つのゴールを演出したのが武藤だった。今最もゴールにつながる効果的な動きをしている。今週末の福岡戦でゴールは無かったが、右サイドで攻守に奮闘し、1-0の勝利に貢献した。

またW杯に向けては大迫のコンディションばかり注目されるが、武藤も候補である。右足首の怪我でE-1 選手権を辞退するなど、ここまで代表活動との噛み合わせは良くないが、国際経験は折り紙付きであるだけに、神戸を一気に残留へと導く爆発的な活躍を見せればカタールへの逆転選出も十分にあり得る。

京都サンガ(30試合 勝ち点33)

川﨑颯太

攻守にハードワークする京都の中盤の要として、J1でタフに戦い抜く原動力の一人になっている。夏場はどうしても全体の強度が下がり、川﨑も引っ張られた感はある。しかし、涼しくなってきた終盤戦で、京都が盛り返して昇格シーズンでの残留を掴み取るには欠かせない存在だ。

鳥栖戦では同世代の西川潤を封じるなど、1-0の勝利に貢献した川﨑。パリ五輪世代の有望なタレントでもあり、競争の激しいボランチで代表サバイバルを勝ち抜いていく意味でも、引き続きJ1での経験とアピールが求められる。サンガにとっても川﨑個人にとっても、命運をかけた残り4試合となりそうだ。

もし残留を確定させて来シーズンもJ1の舞台で戦えれば、京都にとっても川﨑にとっても2023年は飛躍のシーズンになり得る。

清水エスパルス(30試合 勝ち点32)

立田悠悟

試合がなかった週末に神戸や湘南、京都が勝ち点を伸ばしており、一時は上位躍進も期待された清水も厳しい状況になってきた。

乾貴士など夏の効果的なアタッカー補強が、清水を残留圏に引き上げたことは確かだが、ゼ・リカルド監督のもとでディフェンス組織がしっかりと整備されたことが、その支えとなっていたこと見逃せない。しかし、ここ3試合で6失点。足踏みの要因になっている。

ピンチの数自体は大きく増えていないだけに、センターバックの奮起が問われる。非凡な対人能力とボールハントのセンスを持つ立田だが、しっかりと自陣ゴールに鍵をかけられるか。

災害により直近の静岡ダービーは延期となったが、川崎、鹿島と続く強豪都に連戦で残留への勝ち点を積み上げるために、堅守は絶対条件だろう。もともと東京五輪のホープとして冨安健洋や板倉滉と同等に期待されたタレントだけに、改めて奮起して、ここから飛躍への足がかりを掴んでほしい。

湘南ベルマーレ(30試合 勝ち点32)

茨田陽生

生え抜きの若手である田中聡がベルギーのコルトレイクに移籍。中盤の底を任された経験豊富なM Fは攻守の落ち着いたポジショニングと正確なパスで、トランジションの激しいチームの中心軸として支えている。

9月10日の清水戦では1点ビハインドを負った後半アディショナルタイムに、絶妙な配球でウェリントンの劇的な同点ゴールを演出しており、そうした決定的なプレーも含めて、目立つ仕事でも目立たない仕事でも、勝ち点3をもたらす屋台骨だ。

さらに山田直輝やタリクなど、比較的若い湘南の中にも経験豊富な選手たちが複数おり、湘南の総合力が問われる終盤戦になる。

アビスパ福岡(31試合 勝ち点31)

山岸祐也

献身的なディフェンスから精力的な前線でもハードワークをこなしながら、かつボックス内で勝負強さを発揮する。ここまで9得点で、二桁ゴールにあと1と迫っているが、もちろん前節の清水戦にように、アビスパを勝利へと導くゴールが期待される。

途中出場の2試合を含む全てのリーグ戦に出場しており、心身にタフな選手として、残り3試合もフル稼働でチームを牽引するはず。29歳だが、決してエリート街道とはよべないところからキャリアを描いており、選手としてのピークはもう少し先にあるように感じさせる。

その一方でフアンマ、ルキアン、ジョン・マリという外国人F Wも揃っており、この最終局面で長谷部監督がどういった前線の起用をしていくかも注目される。

ガンバ大阪(31試合 勝ち点30)                   山本悠樹

今シーズンのガンバの“低迷”の理由はいくつか考えられるが、このプレーメーカーの長期離脱が痛手であったことは間違いないだろう。やはり中盤から長短の効果的なパスで、チャンスのひとつ前を作れる選手で、そこが無いとどうしても攻撃が単調になってしまう。

松田浩監督の掲げるタイトなディフェンスも当然こなす必要はあるが、山本に求められるのは相手のディフェンスを崩す布石を敷いていくこと。齊藤未月の力強いサポートを得ながら、チャンスに関わっていく前向きなゲーム運びが期待される。

夏に加入した左利きの山本理仁が怪我から復帰。彼も正確なキックと中盤からの展開力に優れ、ゲームメイク能力を評価されているはずで、山本悠樹が意地を見せられるか。もちろん状況によっては二人の共演もあるだろう。

ジュビロ磐田(29試合 勝ち点24)

山田大記

ジュビロの10番が帰ってきた。昨シーズンは悲願の昇格を主役級の活躍で引っ張っていただけに、これだけ怪我になやまされたシーズンになるとは筆者も想定できていなかった。しかし、チャンスメイクに質をもたらす、ジュビロに欠けていたピースとして、ゴールやアシストだけでなく、起点としても残り5試合で救世主的な活躍が期待される。

クールに熱いという表現がぴったりな選手で、精神的に周りの選手が頼れる兄貴分でもある。現在のジュビロが対戦相手を圧倒するような勝ち方はなかなか望めない中で、接戦をモノにしていく勝負強さが必ず求められる。そうした意味でも心強い存在だ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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