東京五輪で金メダルを目指した日本は準決勝でスペインに延長戦で敗れ、3位決定戦ではメキシコに敗れて4位に終わりました。普通に考えれば立派な成績ですが、やはり自国開催でメダル獲得を目指していただけに、悔しさも残ります。

大会に出場した選手たちは来年のカタールW杯に向けた予選、そして本大会と戦って行くA代表のメンバーに食い込んで行くことが期待されます。

3年後のパリ五輪で主役になるのは2001年以降に生まれた選手たち。久保建英と今回メンバー入りしたGK鈴木彩艶にも出場資格はありますが、彼らに追い付き追い越す勢いでパリ五輪世代が台頭してくることが期待されます。

彼らの飛躍の舞台になりそうなのがJ2です。今夏には数多くの有望な選手たちが期限付き移籍などでJ2のクラブにやってきました。そんなJ2から飛躍が期待される8人のパリ五輪世代を筆者の独断でピックアップして紹介します。

武田英寿(FC琉球 ←浦和レッズ)

パリ五輪世代でも中心を担うべきタレントの一人で、昨年に青森山田から浦和レッズに加入しました。シーズン終盤戦で出場チャンスを掴んで今シーズンのブレイクが期待されたものの、リカルド・ロドリゲス 監督のもとでなかなか出番を掴めず、FC琉球に育成型期限付き移籍しました。

左足の正確なキックが武器で、右サイドハーフ、トップ下、ボランチをこなすマルチなMFですが、もともとボランチから広い視野とアイデアを生かして攻撃の起点になる役割を担える選手です。ただ、守備の強度なども考えると、2列目からゴールに直結するプレーを繰り出して行く方が早い段階で活躍できるかもしれません。

現在4位で昇格に十分手が届くところにいる琉球。キャプテン上里一将の負傷も伝えられるチーム状況の中でヤングタレントをどう起用して行くのか。きっかけ次第では一気に主役候補に躍り出てもおかしくない選手です。

成岡輝瑠(SC相模原 ←清水エスパルス)

下部組織から多くの選手を輩出してきた清水でも最高レベルに到達することも期待されますが、ルーキーイヤーの今夏にJ2の降格圏で苦しむSC相模原に育成型期限付き移籍。成岡は2002年生まれですが、同じパリ五輪世代の2001年生まれで、FC東京からやってきたセンターバックの木村誠二とともに、即戦力としての活躍が期待されます。

目を見張るのは卓越した攻撃センスで、パスワークを駆使したコンビネーションの出し手にも受け手にもなれる選手。3人目の動きからゴール前に入って行くフィニッシュワークも得意としています。残念ながらU−20W杯は無くなりましたが、”01ジャパン”では武田英寿とともに中盤の候補として継続的に招集されていました。

武田と同じく中盤のマルチなタレントですが、おそらく3ー4ー2ー1のシャドーがメインになるでしょう。同じく夏に加入した大ベテランの兵藤慎剛からも多くのものを学ぶことになりそうです。

鈴木海音(ジュビロ磐田)

J1昇格を宿命付けられた名門クラブでトップ昇格。成岡と同じ2002年生まれて、2019年のU−17W杯でもしセンターバックの主力を担ったタレントですが、ポジョション的にすぐポジション奪取とは行かず、経験豊富な大井健太郎を軸とした3バックで控えに甘んじている状況です。

しかしながら、東京五輪チームのトレーニングパートナーとして直前合宿に参加し、吉田麻也などと活動をともにする中で得たものは非常に大きいはず。鈴木政一監督も前に行く守備の強さは高く評価しており、あとは状況判断とビルドアップの安定性を高めていけば、守備範囲が広く消耗が激しいジュビロの3バックで出番を得ることは十分に可能でしょう。

櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド市原・千葉)

待望の大型FWであり、パリ五輪世代でも早い段階でのブレイクが期待される選手の一人です。第9節の水戸戦でゴールを挙げましたが、彼のポテンシャルを持ってすれば11試合で1得点は物足りない数字と言えます。

190cmの巨体を生かすダイナミックなフィニッシュが武器ですが、動き出しに大きな課題があり、本人も強く自覚しながらトレーニングに励んでいるようです。武田、成岡らと東京五輪のトレーニングパートナーとして参加し、メンバーたちからも可愛がられていた様子ですが、欧州でプレーしている選手たちも含めた代表基準の意識を身に付けて、ジェフの躍進に換言して行けるか。

ライバルにはパリ五輪の有望株である1つ下のブワニカ啓太がおり、ジェフでの二人の競争が代表チームにも直結して行く予感がします。もちろん二人で高め合い、相乗効果でジェフを躍進に導ければ揃っての代表入りも見えてきます。

川﨑颯太(京都サンガ)

J2のパリ五輪世代の中でも現時点で最も安定した活躍を見せている選手で、首位を行く京都の主力として、チームとともにJ1の舞台へとステップアップして行く期待が高まります。ボランチでも武田や成岡より守備的な役割を得意とする選手ですが、曺貴裁監督のもとで展開力にも磨きをかけており、リスク管理と攻撃の起点、両面で大きな仕事ができるユーティリティーなタレントに成長しつつあります。

このポジションは鳥栖から清水に移籍した松岡大起、徳島ヴォルティスの藤田譲瑠チマと言ったすでにJ1級のタレントもいる激戦区ですが、そういった選手にも匹敵する才能を備えており、京都のJ1昇格とともに大きく飛躍して行く可能性が高い選手です。

藤尾翔太(水戸ホーリーホック ←セレッソ大阪)

フィニッシュのセンスはパリ五輪世代でもトップレベルのアタッカーです。180cmの上背はありますが、俊敏な動き出しと高度なテクニックがあり、少々難しい角度や体勢からでもゴールを決めきる身体能力も魅力です。セレッソ大阪のアカデミー出身で、昇格した当初はU−23のメンバーとしてJ3で経験を積んでいましたが、その活動が無くなった今シーズンは神戸戦で終盤に投入されたのみでした。

しかし、中断前の6月に水戸へ育成型期限付き移籍すると、3試合目の山口戦からスタメンに起用され、町田戦と松本戦で2試合連続ゴールを決めました。現在、J2で最も波に乗るヤングアタレントの一人であり、セレッソの同僚である西川潤をはじめベルギー2部のロンメルに在籍する斉藤光毅、スイス1部シオンの若月大和など、すでに欧州で挑戦するライバルもいるアタッカーの主役候補になって行く期待は十分あります。

樺山諒乃介(モンテディオ山形 ←横浜F・マリノス)

”カバちゃん”の愛称で親しまれるサイドアタッカーはオフ・ザ・ピッチの明るいキャラクターとは裏腹に、試合ではアグレッシブな仕掛けを繰り出してゴールに迫る気鋭のタレントです。横浜F・マリノスでは高卒ルーキーにして開幕スタメンを勝ち取りましたが、ディフェンスやオフ・ザ・ボールの動きなどはまだ粗削りで、試合ごとのパフォーマンスに波が見られたのも確かです。

しかし、実力を発揮すればJ1の舞台でも相手ディフェンスの脅威になった打開力は本物。加えてポジショニングなどにも成長を見せており、ピーター・クラモフスキー監督のもと破竹の連勝街道で昇格戦線に名乗りをあげたモンテディオ山形に新たな推進力を加える存在になりそうです。

唐山翔自(愛媛FC ←ガンバ大阪)

2019年のU−17W杯に出場した選手の一人であり、セレッソ大阪の藤尾と同じくガンバでもU−23の活動が無くなった状況で、なかなかトップチームで出番が無いまま4月に育成型期限付きで愛媛に移籍してきました。ただ、ここまで5試合の出場で無得点と、新天地でなかなか結果を出すことができておらず、中断明けの数試合が勝負になってくるかもしれません。

特長は意味不明の動きだしで、いつの間にかディフェンスの背後や死角に潜り込んでワンタッチでゴールを決める独特のセンスを備えています。まだ18歳で体が十分にできているとは言えませんが、ポストプレーの技術も高く、2トップを基本とする愛媛の前線にフィットすれば唐突にゴールを量産してもおかしくありません。

サガン鳥栖から2000年生まれの石井快征が加入し、愛媛での競争も厳しくなっていますが、二人で引き出しあえるような関係を築いていければ、愛媛を残留圏に引き上げる存在になって行くかもしれません。

そのほか東京五輪のトレーニングパートナーを務めた東京ヴェルディの山本理仁や”01ジャパン”の常連だった松橋優安、横浜F・マリノスからの期限付き移籍で大宮アルディージャの主翼を担っている松田詠太郎、俊敏な仕掛けを誇る柴山昌也、昇格争いを展開するアルビレックス新潟で主力に定着しつつあるスピードスター三戸舜介、非凡な機動力と高精度の左足でV・ファーレン長崎の新鋭サイドバックとして期待される加藤聖など、ここでもあげきれないパリ五輪世代のタレントがひしめいています。

その中から誰が台頭してくるのか楽しみに見ていきたいと思います。

(写真/筆者撮影)