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追加招集で日本代表に初選出。静岡ダービーの2ゴールから紐解く北川航也の得点力。

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:田村翔/アフロスポーツ)

10月のパナマ戦、ウルグアイ戦に向けた日本代表のメンバーに清水エスパルスの北川航也が選出された。週末のJリーグで負傷した川崎フロンターレの小林悠に代わる追加招集だが、前節まで9得点、5−1で勝利した日曜日のジュビロ磐田との静岡ダービーでも2得点をあげて11得点に伸ばしており、代表入りを期待する声があがっていた。

これまで各年代の代表に選ばれてきた経歴があり、時折非凡な輝きを放つものの、継続的に高いパフォーマンスを発揮できなかった北川。しかし、今季はコンスタントに活躍し、特に夏に加入した外国人助っ人のドウグラスと2トップは対戦相手に脅威になっている。高い推進力のドリブルや飛び出し、右利きながら左右両足でゴールを射ぬけるシュート力、瞬時のイマジネーションといった特徴を持つ北川のプレーを静岡ダービーの2ゴールで検証する。

1点目は開始1分。ショートカウンターからドウグラスが縦に仕掛けると左を飛び出し、タイミングよくパスを受けて左に持ち出し、左足のシュートをゴール右隅に決めた。北川の動きを中心に観ると、ドウグラスがプレスバックでボールを奪う瞬間に北川は縦のスプリントを開始しており、相手のディフェンスがドウグラスに寄せたところで合図し、ちょうどオフサイドラインの手前でパスを引き出した。そこから左足でファーストコントロールすると、ディフェンスがカバーで寄せてくる直前に左足を振り抜き、GKの逆を突く形でポストの内側にボールが当たってゴールに吸い込まれた。

前半39分には3人に囲まれた状況でボールをキープし、ドウグラスの豪快なゴールをアシストした北川。2−1で迎えた後半10分にはリスタートからのロングボールをドウグラスがキープして左に落とすと、北川がワンタッチでリターン。そこからドウグラスがディフェンスを破り清水の3点目を決めた。

北川の2ゴール目は後半27分。自陣でボールを奪ったDFのフレイレがボールを運び、ドウグラスにボールを預けると、そこから中央の石毛秀樹に渡る。その瞬間に北川が石毛のチェックに出たディフェンスの背後に回り込んでスルーパスを受け、そのまま加速して出て来たカミンスキーの足元を右足で破った。

技術と身体能力をハイレベルに併せ持つ北川だが、何と言ってもストライカーとしてのセンスが高く、ポテンシャルは国際レベルでも通用しうるレベルだ。あとはA代表という特殊な環境で、慣れないチームメートたちと競争、協力関係を築きながら実力を発揮していけるか。十分に期待はできるか、そこは北川次第だ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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