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勝てば予選突破の日本代表。セットプレーの守備から見るオーストラリア戦のスタメン予想

河治良幸スポーツジャーナリスト
ゴールが期待される杉本健勇も終盤にはセットプレーの守備で大役を担う可能性がある。(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

いよいよロシアW杯アジア最終予選も運命の大一番。ロシアW杯出場権獲得をかけたオーストラリアとの決戦が行われる。勝利のためにはゴールが求められるが、オーストラリアからそう簡単に大量点が見込めないことを考えれば、やはり失点は避けたいところ。そこで流れ以上に危険なのがセットプレー、特に彼らの”高さ”を生かせるCKや間接的な位置からのFKだ。

実際にヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「(最終予選でオーストラリアがあげた)14得点中、CKから5つ、PKが3つ。得点の6割がセットプレーだ。彼らの長所であるセットプレーを阻止する必要がある」と警戒する。

今朝、筆者は「フットボールチャネル」で「【識者の眼】日本代表、守備の最重要タスク。屈強なオーストラリアのセットプレーを無力化できるか」という記事を寄稿した。

前回の対戦時に誰が相手のターゲットマンに付き、どの様な役割を果たしていたかを分析的にまとめた。ここから練習などの情報をもとに、複数のメディアで予想されるスタメンの選手を当てはめてみると、おおよそこんな構成になる。

GK:川島永嗣

DF:酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都

MF:柴崎岳、長谷部誠、井手口陽介

FW:久保裕也、大迫勇也、乾貴士

ユーリッチ(189)VS吉田(189)

デゲネク(187)VS昌子(183)

セインズバリー(183)VS大迫(182)

ライト(184)VS酒井宏樹(183)

レッキー(181)VS久保(178)

ミリガン(178)orアーヴァイン(189)VS長谷部(180)

長友(170):壁

井手口(171)&柴崎(175):ミドル&ストーン

乾(169):カウンター

こうして見ると、セットプレーの守備から考えても、なかなかバランスが取れたスタメン予想だというのが分かる。ここにロギッチ(188)が飛び込んでくる形になると柴崎や井手口とミスマッチになるが、ロギッチは長身の割に特別空中戦が得意な選手ではないため、それ以上にセカンドボールからのミドルシュートに備えておくべきだ。

ただ、ここに空中戦のスペシャリストであるケーヒル(180)の様な選手が投入される場合は純粋なマーカーの頭数が足りなくなるため、前回の対戦でセインズバリーをマークした本田圭佑(182)や中盤では最も長身の高萩洋次郎(183)などを加えて対処したい。

終盤のパワープレーに対しては植田直通(186)がいれば心強いが、昨日発表された背番号からは外れた。おそらくサウジアラビアがUAEに敗れたことで、勝ち点計算上は引分けと負けの違いが無くなったため、より攻撃のオプションを重視した構成になったと考えられる。

ただ、1点リードして終盤に相手がパワープレーをしてきた場合は杉本健勇(187)を加え、セットプレーの守備に参加させる”裏技”も有効だ。「セレッソでも自分も戻ってますし、そういうところでも貢献できたらと思います」と杉本もセットプレーの守備参加は想定しているところだ。

さて、一部では右サイドに久保ではなく浅野拓磨(173)のスタメンを予想する報道もある。より縦のスピードを意識した布陣になるが、セットプレーの守備で6人目のマーカーが苦しくなる。浅野もゴール前に飛び込んで行くヘディングは苦手ではないが、セットプレーの守備においてターゲットマンとのミスマッチは避けられない。

またトレーナーを付けての脚部の入念なストレッチが続く長谷部の先発を危ぶむ声もあるが、その場合はアンカーを山口蛍(173)が担うとしても、高萩が先発でインサイドハーフに入り、長谷部に代わりターゲットマンのマークを任されるかもしれない。

ハリルホジッチ監督はセットプレーの守備を軽視することは考えにくいため、右ウィングに浅野、1トップに岡崎を起用する様な場合は中盤に高萩、左SBに槙野智章(182)を入れてバランスを取る様なことはするかもしれない。もちろん流れの中での攻守のバランスや攻撃のオプションは大事だが、セットプレーの守備をイメージしながらスタメンや交代選手を予想してみると、この大一番をもう一段深く観戦する助けになるはずだ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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