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本田圭佑はタイ戦で何を感じたのか?

河治良幸スポーツジャーナリスト

最終予選の初戦でUAEにホーム敗戦を喫した日本代表はタイ戦で2−0と勝利したものの、全体のパフォーマンスは決して芳しいものではなかった。この試合に右サイドハーフでフル出場した本田圭佑もその1人だ。

戦術面ではUAE戦より右ワイドに張り、酒井宏樹のオーバーラップを効果的に引き出すなど改善を見せ、前半18分には酒井宏のクロスから原口元気をフリーにするゴール前の動きで、間接的ながら先制点に絡んだ。

しかし、ボールに絡むシーンでは精彩を欠き、浅野拓磨の決定的なグラウンダークロスを空振りしてしまうなど、本来のプレーとはほど遠いパフォーマンスで連続得点も7で途絶えてしまった。今もってチームの重要な選手であることに変わりはないが、彼なりに危機感を抱いて今後に臨もうとしている様子だ。

タイ戦後、慌ただしくスタジアムを離れる直前の本田にミックスゾーンで話を聞いた。

【本田圭佑・タイ戦後の談話】

※試合後の囲み取材のため、他の記者の質問も含まれています。

ーー勝ってほっとした?

"本田"そうですね。まあ大事は大事ですよね、しっかり勝つってことが大事だと思います。特に負けた試合だったんで。

ーー内容も改善はされた?

"本田"うん。あの、攻撃陣は反省するところが多いですけど、守備陣は危なげなく。1本危なかったかな。それ以外ホントに完璧だと思ってるし、実際結果として失点はしてないんで、守備陣をしっかり評価したいなと思います。

ーー浅野選手のクロスを合わせられなかったのは?あそこで決められなかったことは問題だと思うが。

"本田"見てみないと分からないですけど、空振ったので。なんでなんかなって感じですけど、そこまで跳ねた記憶もないんで、ちょっとビデオ見てみないと分からないですけどね。

ーーチームとしても決定機を相当外したが?

"本田"まあまあ、そうですね。ただ、攻撃陣が外してもしっかり勝てたんでよかったです。これが負けてたら僕のせいになってたんで。

ーー前回は香川選手が中央でスペースがなかったことを踏まえ、今回は幅を使い、サイドバックとの連携も考えながらプレーした?

"本田"改善できたというには早いですけど、(課題を)意識はしていたってところはまず前進した証拠だと思う。これより厳しい試合が続くんでね、相手のレベルも上がりますし、そういった相手にしっかり守備で危なげなく、今日ほどでないかもしれないですけど、今日に近いくらいのチャンスを作るっていうのは大事になってくるんじゃないかと。そのイメージを監督を含めて持ってはいるんで、というのはスペースができればできるほどチャンスが作れるっていうサッカーをしてるとは思ってるんで、それはそれで来月に試したいなと思ってます。

ーー空中戦、ヘディングで逆サイドからのターゲットになるという意識でプレーしていた様に見えたが?

"本田"アジアで試合する時には、困ったら僕と相手のサイドバックがだいたいパワーで差が出てくるんで、それは1つ詰まった時にはサイドで僕のところですらして、そのセカンドみたいな。

ーーこの試合に勝ってより自信が深まったか?(タイ現地記者)

"本田"(英語で)オフコース。特に我々は前回の試合を落としていたので、この試合には勝たなければいけなかったし、僕はハッピーですね。この試合の勝利が非常に大きいと思ってるので。

ーーこの前言っていて勝負弱いという話で、球際やボールを奪うところの部分の重要性を言ってたが、原口選手や山口蛍選手が入って改善が見られたが?

"本田"それぞれ出ている選手は何かしらいいところがあって出てるんで、そのいい部分を生かしたいなっていうのはありますし、それは僕のポジションで悠が出ても、悠のよさと僕のよさも違うし、それはチームでもう少し成熟したチームにならないといけない。それがまだまだ足りないなと言うのはすごく感じてます。

ーー今日は危機感が強かった?

"本田"そもそも初戦が負けたので、危機感しかない立ち上がりで、何とか1勝をと。でも、たった1勝で危機感が取れるとも思えないですから、勝ち続けないといけないってイメージですよ。後があるっていう風には別に思ってないです。

ーー戦術的な部分で本田選手のチームの中での意識が見られた中で、トラップとかシュートとかで本来の本田選手からしたら、物足りなさが出ていた。

"本田"そうですね。そもそもゴールをこの相手には取らないといけないと僕は思ってるんで、アシストも結果も、得点に絡めなかったのは反省しないといけないところは思っていますけどね。

ーー1トップで先発した浅野選手とのコンビはどう意識していた?

"本田"拓磨は足が速いので、それをどう生かすかだと思ってるんで、できるだけ足元の時はシンプルにプレーさせて、早めに裏に飛び出させる。とはいえ彼自身も足元にもっと自信つけないといけないと僕は思ってるんで、それはシュツットガルトに行って、いろんな厳しいプレッシャーの中で、磨かれていくんじゃないかなと思ってます。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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