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新境地を見出した長友佑都が内田篤人とのコンビ復活を「楽しみ」と語る理由

河治良幸スポーツジャーナリスト

ハリルホジッチ監督が率いる日本代表にとって今年最後の試合となったカンボジア戦。前半は得点がなく、柏木陽介が入った後半はあえて引いた相手の裏にパスを出すことで転機を見出したが、オウンゴールによる先制点と終盤に藤春廣輝が上げたクロスに途中出場の本田圭佑が合わせた2得点に終わった。

チームとしては厳しい環境の中であらためて課題が出た試合ではあるが、日本代表では珍しく右サイドバックで出場した長友佑都は守備のバランスを取りながら、タイミング良くサイドを駆け上がって何度も効果的なクロスを上げた。ここまで何度か記事で書いて来た様に、ブラジルW杯やアジアカップの惨敗、さらにインテルでの苦しい日々を糧に「チームのためにいかに犠牲になれるか」という意識で攻守のビジョンを磨いてきた。

その長友に1つ聞きたいことがあった。内田篤人のことだ。次の代表戦は来年の3月。今年の6月に膝の手術を受け、長期離脱から復帰を目指してリハビリを続ける内田が良いコンディションを取り戻せば、そこで代表に戻ってくる可能性が高い。以前、不動の両サイドバックとしてコンビを組んでいた時は左サイドを長友が果敢に駆け上がれば、右の内田がバランスを取りながらビルドアップに加わり、タイミングを見て前に出て行くという関係だった。

しかし、気の利いたバランスワークやカバーリングのビジョン、個としてだけではなくチームとしての機能を重視するスタイルを身に付けた長友がまた内田と組めば、これまでと違った関係が生まれるのではないか。

ーーー以前、内田選手はこんなことを言っていました。「佑都くんがガンガン上がるから、僕は様子を見ながらタイミングをみてスルスル行くよ」と。でも今は長友選手が左右のバランスを考えながら効果的な攻め上がるビジョンを高めています。実際に内田選手が戻ってきたら、また新たな化学反応が起こるのでは?

長友「楽しみですね。彼みたいな最高のレベルのサイドバックが逆サイドにいるっていうのはね。僕自身も彼に支えられてガンガン行く部分がありましたから。でも逆に僕もいろんな経験を積んで、彼にガンガン行かせて僕がバランスをとるという時間も試合の中でやっていきたいと思います」

彼らが良い状態で来年3月を迎えることが前提になるが、攻守に効果的な影響をもたらす左右のハンドルとして、彼らの存在がクローズアップされてくるかもしれない。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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