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長野県で上雪(かみゆき) 3月も寒暖差大きい

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
2月25日正午の雨や雪の様子、ウェザーマップ作画

 25日(日)は南岸低気圧の影響で、東日本を中心に冷たい雨となり、長野県や山梨県では湿った雪が降りました。

 南北に長い長野県は雪の降り方に特徴があり、北信は真冬の強い寒気で、南信は南岸低気圧によって雪が降ることが多い。地元では南信の雪を上雪(かみゆき)と呼んでいます。

【2月25日午前9時の地上天気図】南岸低気圧による雲が北・東日本に広がっている、ウェザーマップ作画
【2月25日午前9時の地上天気図】南岸低気圧による雲が北・東日本に広がっている、ウェザーマップ作画

なぜ、桁違いの寒暖差に?

 昔から三寒四温と言われるように(もともとの意味合いは少し違いますが)季節の移り変わりに寒暖差はつきものです。

 しかし、このところの寒暖差には驚きます。初夏の陽気となった数日後に雪が降るような寒さになるとは、いくらなんでも違いが大きすぎます。

2023年12月~2024年2月までの気温の変化を平年と比べたもの、気象庁ホームページより、吹き出しや言葉は筆者が加えた
2023年12月~2024年2月までの気温の変化を平年と比べたもの、気象庁ホームページより、吹き出しや言葉は筆者が加えた

 上図はこの冬の気温の変化を平年と比べたもので、暖色は平年より高いことを、寒色は低いことを示しています。

 暖色と寒色、どちらが目立つといえば、明らかに暖色です。12月20日前後と1月下旬に寒くなったくらいでしょうか。

 この図をみると、冷たい空気と暖かい空気がせめぎあって、大きな気温差が生まれているのではなく、気温が高いなかでの変動が際立っている印象です。

 天気予報は平年という言葉を多用しますが、平年という物差しそのものが気候にあっていません。最近の寒暖差を見るにつけ、何が普通なのか、分からなくなります。

3月の気温は平年並みでも

 最新の気象庁1か月予報によると、この先1か月(2/24~3/23)の気温は全国的に平年並みです。平年並みと言われると、寒いのか、暖かいのか、よく分かりません。

【気象庁1か月予報】平均気温の予想図、上図は1か月間、左下図は第1週目(2/24~3/1)、下中図は第2週目(3/2~3/8)、右下図は第3~4週目(3/9~3/22)ウェザーマップ作画、筆者加工
【気象庁1か月予報】平均気温の予想図、上図は1か月間、左下図は第1週目(2/24~3/1)、下中図は第2週目(3/2~3/8)、右下図は第3~4週目(3/9~3/22)ウェザーマップ作画、筆者加工

 実は3月上旬までは気温が低く、その後は気温が高くなる予想のため、平均すると平年並みという意味です。つまり、この先も寒暖差が大きくなる可能性が高いと言えます。

【参考資料】

倉嶋厚、2002:第5章雪氷の季節、上雪(かみゆき)下雪(しもゆき)、大学テキスト日本の気候

気象庁:1か月予報(2/24~3/23)、2024年2月22日発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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