Yahoo!ニュース

暖冬予想も、なぜ福岡で一か月早い初雪に?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
11月18日午前9時の推計気象分布(天気)、ウェザーマップ作画

 18日(土)は西日本の広い範囲で、冷たい雨や雪が降り、福岡では平年より30日早く、初雪が観測されました。そのほか、山口県の下関や島根県の松江でも平年より20日前後早い初雪となりました。

 この寒さはあす(19日)朝まで続くでしょう。その後は一転、気温が高くなる予想です。しかし、来週末は再び、強い寒気に覆われる見通しで、今後も気温の変化が大きくなる可能性があります。

相次ぐ「寒冷渦」の南下

 暖かい秋を実感しながらも、11月になって北極から寒気の南下が相次いでいます。13日には鳥取県の大山で40センチの雪が積もり、それから5日後、今度は西日本の平地で初雪です。

11月18日午前9時、上空5,500メートル付近の寒気の様子、ウェザーマップ作画
11月18日午前9時、上空5,500メートル付近の寒気の様子、ウェザーマップ作画

 急激な寒さの原因は北極から南下した「寒冷渦」です。北極付近に溜まっている寒気が偏西風の蛇行によって、押し出され、日本付近に流れ込みました。偏西風の流れから切り離された寒気の渦という意味があり、冬季に暴風や大雪などの嵐を引き起こす主因です。

23日頃にかけて小春日和も

 「寒冷渦」が去ると、気温は上昇に転じ、23日(勤労感謝の日)頃にかけては晴れて、最高気温も20度くらいまで上がるでしょう。小春日和となるところも多そうです。

週間天気予報(11/19~25)、ウェザーマップ作画、筆者加工
週間天気予報(11/19~25)、ウェザーマップ作画、筆者加工

 しかし、24日(金)には再び、強い寒気が流れ込み、西日本の日本海側では雨から雪に変わる見通しです。

暖冬予想と言いながらも、なぜ強い寒気が流れ込むのでしょう

 それは北極付近の大気の流れに原因があります。太陽の光が届かない冬の間、北極付近には非常に気温の低い大気の渦が形成されます。これを極渦と言います。この極渦は偏西風の蛇行とともに分裂し、寒冷渦となって日本付近に南下することがあります。

上空約5,500メートル高度の偏差予想図(11/25~12/1)、ウェザーマップ作画、筆者加工
上空約5,500メートル高度の偏差予想図(11/25~12/1)、ウェザーマップ作画、筆者加工

 今後の予想では北極付近の極渦が分裂し、強い寒気が押し出されるように、ひとつは欧州に、もうひとつは北米に、そして日本に南下する可能性が高くなっています。

【参考資料】

気象庁:1か月予報(11/18~12/17)、2023年11月16日発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

片山由紀子の最近の記事