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成層圏の突然昇温で寒気南下 寒さと大雪は来月も

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
1月28日正午の雪雲の様子(ウェザーマップ作画)

 28日(土)は冬型の気圧配置が強まった影響で、日本海側の広い範囲で雪が降っています。島根県松江市では午後3時現在、積雪が38センチに達し、この冬最大の積雪となっています。

寒波の影響、食卓にも

 ひとことで寒波の影響といっても地域によって違います。いつもはあまり雪が降らない地域の大雪は影響が広範囲に、長引く特徴があります。

 この時期、生鮮食品の多くは西日本です。以前、東京市場では入荷が減り、野菜が1割~3割値上がりしたり、海が荒れてブリやアジが入荷しなくなったことがありました。物価高騰の折、食卓への影響も気になります。

白菜に積もった雪(イメージ)
白菜に積もった雪(イメージ)写真:イメージマート

大雪と厳しい寒さはいつまで?

 来月4日は立春ですが、まだまだ寒い日が続きます。こちらは北極上空の気温を示したグラフです。

北極上空30hPaの気温変化を示したグラフ(気象庁ホームページより、筆者が言葉と矢印を加えた)
北極上空30hPaの気温変化を示したグラフ(気象庁ホームページより、筆者が言葉と矢印を加えた)

 冬の間、太陽の光が届かない北極上空は寒さが極限に達します。今月初めマイナス80度以下まで下がった気温が一気に20度以上も上昇しました。これを「成層圏の突然昇温」といい、非常に気温の低い大気の渦(極渦)が分裂したことを表しています。

日米欧 3波型の寒気

 成層圏の突然昇温が起こり、極渦が分裂したら、何が起こるのか。北極の寒気が中緯度に南下するのです。

【北半球天気図】上空5,000メートル付近の大気の流れを予想した図(2/1~5、ウェザーマップ作画、筆者加工)
【北半球天気図】上空5,000メートル付近の大気の流れを予想した図(2/1~5、ウェザーマップ作画、筆者加工)

 その様子をしっかりと捉えているのがこの図です。北極を中心とした北半球天気図で、大気の流れを見るために使われます。

 来月初め(2/1~5)にかけて、北極の寒気が3つに分かれ、それぞれ欧州、日本、北米に向かうことが予想されています。

 そのため、北日本はこの先2週間程度は気温の低い状態が続くでしょう。西・東日本は来月3日頃にかけて、寒気の影響を受けやすく、大雪に注意が必要です。

【参考資料】

気象庁:2週間気温予報解説資料、2023年1月28日

小倉義光,2002:成層圏の突然昇温,一般気象学(第2版),東京大学出版,260-264.

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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