新型コロナによる経済封鎖でも、2020年のCO2濃度は史上最高の413.2ppmに達した。頻発する森林火災、海の水温上昇はCO2の吸収を低下させる。コロナ後の経済回復で、温暖化が加速する現実が今ここに

10月は記録的な高温

 きょう(30日)の東京は秋晴れとなり、最高気温は平年並みの20.4度まで上がりました。今月は夏を思わせる陽気から一転、冷え込みが強まったものの、10月の日本の平均気温は基準値(1991年~2020年までの30年平均値)を0.8度(29日まで)上回ったようです。

 これは1898年以降では4番目の高温で、2019年以来の高さです。記録的な高温と言えますが、毎年のように最高値を更新している現状では驚きも薄れます。

コロナでもCO2濃度は最高値

 気象庁は25日、WMO温室効果ガス年報の最新版を公表しました。それによると、2020年の大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は世界平均で413.2ppmに達し、観測史上最高になりました。産業革命前(1750年以前)の約278ppmと比較して1.5倍の増加です。

 一方で、国際エネルギー機関(IEA)によると、新型コロナウイルス感染拡大による厳しい経済封鎖により、2020年の世界のCO2排出量は31.5GtCO2(ギガトン炭素)となり、2019年と比べて約2GtCO2(ギガトン炭素)減少しました。減少幅は過去最大の5.8パーセントに達し、2008年金融危機(リーマンショック)と比べて5倍もの減少となったそうです。

 経験したことのない世界的な経済活動の停滞で、大気中のCO2濃度がどのように変化するのか興味を持っていただけに(大方の予想通りに)CO2排出量の大幅な減少が大気中のCO2濃度の低下に結びつかない現状を実感しました。

CO2の行き先に黄色信号

 人間の活動によって排出されたCO2はどこにいくのでしょう? すべてが大気中に留まるわけではなく、半分が大気に、残りの半分が海洋と陸上に蓄積されます。

2010年~2019年の間で、人為的に排出されたCO2の蓄積先を示したグラフ(WMO温室効果ガス年報第17号を参考に筆者作成)
2010年~2019年の間で、人為的に排出されたCO2の蓄積先を示したグラフ(WMO温室効果ガス年報第17号を参考に筆者作成)

 しかし今、CO2の行き先に黄色信号が点灯しています。熱波や干ばつによる気候の変化で、CO2の主要な吸収源である森林が世界中で危機に瀕しているのです。南米アマゾンの熱帯雨林をはじめ、オーストラリアや米カリフォルニア州で起こった人家を飲み込む山火事など大規模な森林火災を見聞きしない年はありません。

 そして、世界の7割を占める海もCO2の吸収に大きな役割を果たしてきました。しかし、今後もそうであるかはわかりません。水温が上昇するとCO2を吸収しにくくなるとみられるからです。

0.03%のCO2が世界を揺さぶる

 国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年の世界のCO2排出量はコロナ前の2019年に匹敵する規模となる見通しです。経済活動の回復とCO2削減を両立させること、世界のリーダーは難しいかじ取りを迫られています。今世界で起こっていること、これから起ころうとしていることの意味が見えてくるような気がします。

 大気の化学組成は容積比で窒素が約78パーセント、酸素が約21パーセントで、二酸化炭素は0.03パーセントに過ぎません。このわずかな二酸化炭素が私たちの生活を変えてしまう。コロナウイルスに通ずるものを感じます。

【参考資料】

気象庁ホームページ:日本の10月平均気温偏差の経年変化(1898〜2020年)

気象庁:世界の主要温室効果ガス濃度は観測史上最高を更新 ~「WMO温室効果ガス年報第17号」の公表~、2021年10月25日

国際エネルギー機関(IEA):グローバルエネルギーレビュー2021