10月も暑さは収まらず、全国で真夏日が続いている。今や温暖化は当たり前に感じるが、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎さんが研究を始めた1960年代の地球は寒冷化していた。長期予測時代の到来を思う。

全国で真夏日相次ぐ

 きょう(9日)は福岡県久留米市で33.1度、山口県山口市では10月としては過去最も高い31.5度まで上がりました。

 こうも暑いといつまでが夏で、いつから秋になるのか、わからなくなります。実際、10月の真夏日地点数は8日までに、全国でのべ975地点に上り、2016年に次ぐペースで増えています。

10月の全国の真夏日地点数(のべ):2012年~今年(10月8日まで)筆者作成
10月の全国の真夏日地点数(のべ):2012年~今年(10月8日まで)筆者作成

1960年代は寒冷化

 地球の気温が年々、高くなっていることは今や当たり前のように感じていますが、ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎さんが研究を始めた1960年代は今ほど地球は暑くありませんでした。むしろ1970年代にかけて気温は低くなり、このまま寒冷化すると信じられていたのです。その後、1980年代になると気温は上昇に転じ、21世紀になってからは上昇ペースが速くなってきたようです。

 その時代その時代で、地球はさまざまな表情を見せます。今にとらわれず、科学の力で先を見る方法を切り開いた真鍋さんの眼差しの深さを思いました。

世界の年平均気温偏差グラフ(気象庁ホームページより、筆者加工)
世界の年平均気温偏差グラフ(気象庁ホームページより、筆者加工)

長期予報が主役の時代に

 20世紀初め、大気物理学の基礎方程式を解くことで天気予報が原理的に可能だと主張したのはノルウェーの気象学者ビャークネスです。しかし、数値天気予報の成功は電子計算機(コンピューター)の登場を待たなくてはなりませんでした。1950年、数学者のフォン・ノイマンと気象学者のチャーニーは北米を約700キロ間隔の格子点270個で覆い、天気予報の実験を行いました。現在は地球全体を20キロ間隔の格子点で覆い、将来の状態を予測しています。

地球全体を格子で区切ったイメージ図(気象庁ホームページより)
地球全体を格子で区切ったイメージ図(気象庁ホームページより)

 コンピューターの性能向上に支えられて、天気予報は発展してきました。当時の演算能力を1とすると現在のコンピューターは10兆倍の猛スピードです。

 私が気象予報士になったばかりの頃、気象庁の方が「これからは竜巻などのごく小さい気象現象の予測か、一か月先、三か月先といった長期の予測が主になる」とおっしゃっていたことを思い出します。あれから20年あまり、今年のノーベル物理学賞が気候モデルの発展に与えられたことで、名実ともに長期予測の時代になったと感じました。

【参考資料】

スウェーデン王立科学アカデミー:The Nobel Prize in Physics 2021

気象庁ホームページ:世界の年平均気温

G.P.ブラッサー,2009:1.地球システム相互作用のモデリング,日本気象学会創立125周年記念国際シンポジウム「次世代の大気科学に期待すること」(2007年度春季大会)の報告,天気,56,411-415.

気象庁ホームページ:数値予報とは