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ラニーニャ現象ピークに 日本への影響は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
12月5日は関東で冷たい雨やみぞれが降った(9時の推計気象分布、ウェザーマップ)

 12月5日(土)はこの冬初めて、関東の平野部でみぞれが降った。オーストラリア気象局はラニーニャ現象がピークを迎えつつあるとの見通しを示す。この先の天候予想はラニーニャ現象を意識した内容で、今月後半は強い寒気が南下する可能性が高い。

ラニーニャ最盛期に

 オーストラリア気象局(BoM)は11月24日、ラニーニャ現象がやや発達しながら、12月から1月にかけてピークを迎える可能性が高いと発表しました。

 ラニーニャ現象とは太平洋赤道域の中央から南米ペルー沖にかけての海面水温が平年より低くなる現象のことで、世界的な異常気象を引き起こすことで知られています。

【1か月予報】海面水温の平年との差を示した図(気象庁ホームページより):図の説明として、著者が言葉、破線、矢印を書き加えた
【1か月予報】海面水温の平年との差を示した図(気象庁ホームページより):図の説明として、著者が言葉、破線、矢印を書き加えた

 12月1日現在の太平洋赤道域の海面水温を見ると、ペルー沖だけでなく、いつもより西側でも水温が低くなっていることがわかります。冬にラニーニャ現象が発生すると、日本では寒くなりやすいとされ、この冬の天候への影響に注目が集まっています。

この冬初めて、関東で雪

 5日(土)は関東地方で冷たい雨、一部では雪が混じりました。水戸では平年より15日早く、宇都宮は平年より10日早い初雪が観測されました、関東地方平野部の雪はこの冬初めてです。

 東京都心でも7時過ぎに、気温が4.4度まで下がり、この冬一番の冷え込みになりました。年の瀬を感じさせる、寒い一日になっています。

このまま寒くなるのでしょうか?

 最新の1か月予報によると、来週は全国的に気温の高い日が多くなる予想です。ただ、気温が高いと言っても、平年と比べての話なので、朝晩の冷え込みはもちろんのこと、北日本では雪の降る日がありそうです。

【1か月予報】上図は12月5日から11日までの平均気温を、 下図は12月12日から18日までの平均気温を予想した図。 暖色は気温が平年より高く、寒色は平年より低くなりやすいことを示している。気象庁より
【1か月予報】上図は12月5日から11日までの平均気温を、 下図は12月12日から18日までの平均気温を予想した図。 暖色は気温が平年より高く、寒色は平年より低くなりやすいことを示している。気象庁より

 

 そして、12月半ばになると、日本列島に寒気が流れ込みやすくなり、冬型の気圧配置が続く可能性があります。北陸や山陰の平野部でも雪が降り始めることでしょう。

 例年、クリスマス頃から強い寒気が流れ込み、大雪による交通への影響が出始めます。まだ不確実なところもありますが、今年もそのころから大雪への備えが必要になるかもしれません。

【参考資料】

オーストラリア気象局(BoM):La Nina continues, cooling in the tropical Pacific Ocean returns、24 November 2020

気象庁:1か月予報(12月5日~1月4日)、2020年12月3日発表

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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