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エルニーニョは春まで続く予想 寒波は来るのか

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
エルニーニョ監視海域の海面水温は昨秋以降、基準値を0.5℃以上上回る(著者作成)

 エルニーニョ現象は春まで続く見通し。暖冬傾向が続くが、今後は北極から寒気が南下しやすくなるとみられ、今月25日以降は寒さが厳しくなるおそれがある。

いつもと違うエルニーニョ

 10日(木)に発表された定例のエルニーニョ監視速報によると、昨年12月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値を1.0℃上回り、高い水準でエルニーニョ現象(以下、エルニーニョと記載)が継続しています。

 先月は関東から九州にかけての太平洋側で晴れの日が少なく、沖縄・奄美では雨が多く、気温も高くなりました(赤点線で囲む)。これらはエルニーニョが影響したとみられます。

気象庁の2018年12月天候まとめより。赤点線で囲った部分はエルニーニョが影響したとみられる(気象庁ホームページより、著者加工)
気象庁の2018年12月天候まとめより。赤点線で囲った部分はエルニーニョが影響したとみられる(気象庁ホームページより、著者加工)

 一方で、通常のエルニーニョとは違う側面もあります。いつものエルニーニョは太平洋赤道域の東部(南米側)で海面水温が高く、西部(インドネシア側)で低い、という海面水温の差がはっきりと現れます。しかし、現在発生しているエルニーニョは太平洋赤道域のほぼ全域で海面水温が高く、典型的とは言えない状況です。

 今後、エルニーニョは春まで続く可能性が高くなっています。

長続きしない寒さ

 これまでの冬を振り返ると、昨年12月上旬は気温がかなり高くなったものの、その後は全国的に平年並みの気温が続いています。

2018年12月から2019年1月上旬まで。地域平均気温の平年差をまとめた表(著者作成)
2018年12月から2019年1月上旬まで。地域平均気温の平年差をまとめた表(著者作成)

 

 年末寒波以降、寒い日が増えてきたように感じますが、昨年の今頃は北陸地方で激しい雪が降り、JR信越線で普通列車が多数の乗客を乗せたまま立ち往生する事件がありました。この冬は寒気が長続きしていない印象です。

今月26日以降、寒波のおそれ

 このあと寒さはどうなるのでしょう。関東甲信地方を例に、気温の予想をみてみました。すると、来週と再来週は寒気の影響を受けにくく、気温は平年並みから高くなる見通しです。

 しかし、今月末から来月初めにかけて(1月26日-2月8日)は北極から寒気が南下しやすくなる見通しです。そのころ、寒波がやってくるかもしれません。

気象庁1か月予報による関東甲信地方の気温予想(図は著者が作成)
気象庁1か月予報による関東甲信地方の気温予想(図は著者が作成)

 この時期の平年並み予想は寒さが厳しいと思って差し支えないでしょう。そういえば、昨年1月22日は東京都心で積雪が23センチに達する大雪に、25日には最低気温が氷点下4℃を記録する厳しい冷え込みになり、都水道局には水道管凍結による問い合わせが2千件以上もあったそうです。

 全体としては暖冬傾向であっても、散発的に強い寒気が流れ込み、急に寒さが厳しくなることが考えられます。今月26日以降の天気に注目しています。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.316),2019年1月10日

気象庁:12月の天候,2019年1月4日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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