台風26号と寒さ 背景にラニーニャ現象
台風と寒さ、共通点はラニーニャ現象だ。暖かい海は台風を発生させ、日本列島を流れる偏西風を変える。この厳しい寒さはクリスマス頃まで続く見通し。
東・西日本に2度目の低温情報
気象庁は15日、東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報(第2号)を発表しました。今月1日に次いで2度目の発表です。
この気象情報は数日間で終わるような寒さには発表されず、2週間や1か月といった長い期間続く寒さを対象としたものです。それだけに、この低温情報の意味は重く、広い範囲に影響が広がっていることを示しています。
11月からの気温の変化をみてみると、全国的に11月中旬から平年を大幅に下回る気温が続いていることがわかります。この寒さは少なくともあと1週間は続く見通しで、寒いクリスマスになりそうです。
1か月ぶりに台風26号発生
一方で、14日はフィリピン付近で台風26号が発生しました。
12月に台風?と思われるかもしれませんが、熱帯の海では一年を通して台風が発生します。12月は平均して約1個、夏と比べると少ないですが、冬の台風は決して珍しくはありません。
ただ、ちょっと気になったのは台風26号周辺の海面水温が平年と比べて高く、29度くらいあること。暖かい海では雲の発生が盛んになるため、台風には好条件です。この背景には今のラニーニャ現象があると思います。
ラニーニャ現象は日本の冬にも影響
ラニーニャ現象は太平洋赤道域の海面水温が東部(ペルー沖)で低く、西部で高くなる現象で、いつもと違う天候が世界的に現れることが知られています。今や「ラニーニャ=寒冬」のイメージが定着した感があります。
太平洋赤道域西部がいつもよりも暖かくなると、雲の発生が盛んになります。活発な対流活動が日本列島を流れる偏西風の流れを変えるのです。そして、偏西風の北側には冷たい空気があります。
ラニーニャ現象時は偏西風が日本の南を流れるようになり、偏西風の北側にあたる日本列島は寒気の影響をより受けやすくなります。
台風と寒さ、一見すると関係がないように思われます。でも、熱帯の海に着目すると共通点が見えてくる。それが天気のおもしろさなのかもしれません。
【参考資料】
気象庁:東日本と西日本の長期間の低温に関する全般気象情報 第2号、2017年12月15日
気象庁:全般季節予報支援資料1か月予報、2017年12月14日
気象庁:エルニーニョ監視速報 (No. 303)、2017年12月11日