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この冬の天候予想 平年並みの寒さとは?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
日本海一面に広がるすじ状の雪雲(11月24日正午,ウェザーマップ)

 この冬は全国的に平年並みの寒さとなる見通し。しかし、冬の天候予想を読み解くと、平年並みのイメージとは違う冬が見えてきた。平年並みとは寒冬と暖冬が同居する冬だった。

冬の出足が早いけれど

 11月になって4回目の寒気がやってきました。24日は福井県福井市で平年よりも8日早く初雪が降り、鳥取県の大山の積雪は17センチ、平年の5倍以上です。

 まもなく12月、このまま寒さが厳しくなるでしょうか?

24日に発表された冬の天候予想(12月-2月)をみてみましょう。冬の3か月間の平均気温は全国的に平年並みの予想です。ひとことでいえば、普通の冬になる可能性が高いという意味でしょうか。

 でも、平年並みの寒さといわれても、よくわかりません。季節予報が不人気なのはどんな天候になるのか、イメージしにくいところにあると思います。

12月は全国的に寒い

 では、12月、1月、2月、それぞれの予想をみてみましょう。

冬の気温予報(2017年12月-2018年2月)を簡略化したもの,著者作成
冬の気温予報(2017年12月-2018年2月)を簡略化したもの,著者作成

 12月は北日本、東日本、西日本ともに気温が低くなる傾向があるようです。今月末はいったん、寒さは和らぎそうですが、12月になると再び、強い寒気の影響を受けやすくなるとみられています。

 そして、年が明けた1月は北日本で気温が高くなる可能性がある一方で、そのほかの各地は平年並みの予想。2月にかけても同じような傾向が続く見通しです。

平年並みの寒さとは?

 12月は寒くなるということはわかりましたが、1月と2月はどのような天気になるのでしょう。温暖化が進み、冬が年々暖かくなっていることから、天気予報の番組では平年並みの寒さを体感的には寒い冬と解説することが多いです。

 こちらは関東甲信地方が平年並みの気温となった2011年冬をみたものです。

2011年冬の気温変化グラフ(著者作成)
2011年冬の気温変化グラフ(著者作成)

 12月から2月までの気温を平均すると平年並みでも、気温の推移をみるとアップダウンが大きい。2011年の冬は12月が暖かく、1月は寒く、2月は寒暖の差が大きいという平年並みのイメージとは程遠い冬になりました。

 つまり、寒い時期もあり、暖かい時期もあり、平均すると平年並みという意味なのです。暖かい日があって油断していると、急に寒くなったり、大雪になったり、天気も気温も大きく変わる冬と考えたほうがいいのかもしれません。

 最近、西日本では寒さや大雪による被害が続いて、昨冬は大学入試センター試験日に大雪となりました。2016年1月の大寒波では九州各地で水道管の破裂による断水が深刻化しました。この冬も西日本は寒気の影響が大きいと予想されています。

【参考資料】

気象庁:向こう3か月の天候の見通し(12 月~2 月),2017年11月24日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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