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東京 12月の嵐とエルニーニョ

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
季節外れの大雨と暖かさをもたらした低気圧(12月11日午前9時)

東京、季節外れの大雨

低気圧が発達しながら本州を通過した影響で、関東地方では南部を中心に強い雨が降りました。東京は午前7時頃から雨が強まり、11時までの24時間降水量は69.5ミリに達しました。12月としては記録的な大雨です。

もともと、12月の東京は一年で最も雨が少なく、平年の12月の雨量は51ミリです。昨夜(10日)から今日(11日)午前にかけ、わずか半日ほどで、1か月分の雨が降ったのです。

この季節外れの大雨をもたらした低気圧は昨日(10日)沖縄付近にあり、非常に湿った空気を持ったまま、関東地方にやってきました。本来ならば、この時期は北極からの寒気が覆われ、暖かく湿った空気が本州に流れ込むことは少なくなります。日本海側で雪が降ることはあっても、太平洋側で激しい雨が降ることはあまりないのです。

東京、12月として記録的な高温

急に南風が吹き始め、東京では10時20分過ぎ、気温が20度を超えました。気温は現在(13時)、24.1度に達しています。12月中旬以降の最高気温としては140年の観測記録のなかで、最も高くなっています。

都市化と温暖化の影響で、気温が高くなりやすいとはいえ、12月に気温が20度を超えるのは珍しい。気象条件のハードルが高いといえるでしょう。

エルニーニョの影響続く

この高いハードルを越えた原因のひとつに、最盛期を迎えたエルニーニョ現象があります。1997年ー1998年以来の大規模なエルニーニョに発達し、赤道に近い熱帯域ではその影響が強く表れています。

日本の南では高気圧が強く、暖かい空気が日本列島に流れ込みやすくなっています。この状況はこの冬にかけて続く見通しで、北極から強い寒気がやってきたとしても、影響する期間は例年よりも短くなる可能性があります。つまり、寒さや大雪が長続きしない冬になるかもしれないのです。

もちろん、冬ですから、それなりに寒いですし、雪が降る日はあります。近いところでは、来週の木曜日ごろから全国的に本来の冬の寒さがやってきそうです。

【改稿】

東京の最高気温を更新しました。(11日13時)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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