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#日本版ライドシェア』これでは日本の『#ライドシェア潰し』沖縄では非営利型女性専用ライドシェア登場

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:オキジモ

KNNポール神田です。

#日本版ライドシェア』が2024年4月8日からスタートとなった。

2009年トラビス・カラニックによる『UBER(ウーバー)』によって誕生した『ライドシェア』は15年もの時を経て、ようやく日本でもサービス開始となった。

…とはいえ、この『日本版ライドシェア』は、あくまでも、タクシー不足の解消のための『ライドシェア』であり、エリアも時間も限られ、タクシー同等の値段で、タクシー会社の管理下の雇用におかれた、いわばスポットタクシーのアルバイトでしかない。いや、労働可能な時間帯を考えると、非人道的としか言わざるを得ない。


■1日3時間、 土曜日は深夜から朝4時まで 非人道的な労働時間

平日や日曜日は、午前中の3時間程度、週末の夜も16時から19時までの3時間。土曜日は深夜から朝の4時までという、タクシー不足のスポットの時間帯だけでの『運用』である。副業にしては、大した稼ぎにならず、本業には程遠い。
はたしてこの『運用方法』で、一体どれだけの人が自分のクルマである自家用車を綺麗に掃除して、私物の荷物をかたづけて提供し、タクシー会社の雇用と研修を受けて参加したいと考えるのだろうか?

2024年4月8日から東京23区、武蔵野市、三鷹市で始まった「ライドシェア」。
〈導入時間帯〉
・月~金 午前7時~午前10時台
・金・土 午後4時~午後7時台
・土 午前0時~午前4時台
・日 午前10時~午後1時台
https://news.yahoo.co.jp/articles/de372aa9d2c82a5ff58e13fc1cab14423a57d225


■これでは、日本の『ライドシェア潰し』にしかならない!

これは、あくまでも、『タクシー不足の解消』が現在のライドシェアの『ゴール』となっているから、このようなタクシー不足の曜日と時間帯となっている。

当然、1日3時間のために、研修を受けて、タクシー運転手以下の給与で働くメリットは少ない。しかも自分の所有する自家用車の提供である。

2024年、日本のライドシェアがスタートした第一歩とはとても言えないだけでなく、ある意味、これは新たなる日本における『ライドシェア潰し』の一貫にあるようにしか思えてならない。

日本でも、ライドシェアを導入したけれども、ドライバーの成り手が少なく、利用者からの声もよくなかったというシナリオが、背後にあるような気にさえなってくるからだ。さっそく否定的な記事も見られるようになっている。

《うーん、便利になるかな。乗ったらいきなり知らない場所に連れていかれて…。ないことを祈るが》
《女性は利用しにくいかな。怖いし。あと、事故が起きたら保険や補償はどうなるの?》
《現役のタクシー運転手ですが、ウーバーのように気軽にできるわけではありません。いいお客さんばかりじゃないから。因縁もつけられるし、ムリヤリ値切ろうとする人もいる。ふつうの人が対応できるのでしょうか》
《酒に酔ったお客さんの汚物で車が汚されたらと思うとゾッとする。私の車は絶対、使いたくない》
サービス定着には少し時間がかかるかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8e0996faeecc773dc3dd2162bace5a2a36b89f2b


■100年前の『Jitney ジットニー(1914年)』のアイデアが潰されていなかったら…

そもそもライドシェアの概念は、『より多くの人を、より少ないクルマで運ぶこと』であった。
それにより、渋滞や公害や駐車場を削減することができる。
UBERの創業者のトラビス・カラニックが『TED』で語っている。

『JItney』が1914年にライドシェアを始めてから100年もの時が経過している。残念ながら、『Jitney』は1919年にたったの5年で廃業に追い込まれた。その理由は、既得権のある既存事業者によってあらゆる規制がかけられたことによって事業が成立しなくなったからだ。

トラビスが語るのは、『JItney』のサービス開始から100年間、もしも、サービスが存続していたならば、クルマを囲む都市部の景観はもっと変わっていたというレトリックである。
そう、4人以上も乗れる自動車にたった1人しか乗らない。95%は止まっている鉄の塊の自動車のために、都市部の一等地の場所が費やされているからだ。

100年前に普及していれば…。
ライドシェアや自動運転車を利用することで、都市部の景観が変わるのは、現在でも同じだ。
『ライドシェア』の本来の姿は、『より多くの人を、より少ないクルマで運ぶこと』だ。『タクシー不足』という、対処療法的な人材活用ではない。
『ライドシェア』は、既存の道路を走っているクルマの有効活用であり、エネルギーやエコロジーの問題解決手段なのである。

■沖縄での非営利型の女性専用ライドシェアサービス

出典:オキジモ
出典:オキジモ


オキジモが2024年4月1日より、女性版のライドシェアをスタートした。一番の特徴は、『有償型』ではない『非営利型』ということだ。

出典:オキジモ
出典:オキジモ

沖縄県の運転免許保有率が85.3%で、1人当たり1台の自動車保有率であり、沖縄県での渋滞の経済損失は、年間1,455億円と試算されている。沖縄の課題としては、マイカーでの通勤利用をいかに削減できるかが命題でもあり、『非営利型』のライドシェアそして、『女性専用ライドシェア』という新たな切り口は、日本版ライドシェアの新風になりそうだ。

有償型でない非営利型といっても、『ガソリン、保険、車検』などの諸経費を割りカンにできるので、本来の『より多くの人を、より少ないクルマで運ぶこと』の経済合理性と有償型の制約からも開放されるメリットがある。

自家用車活用事業における運行管理について(有償型の場合)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001734885.pdf

15年も遅れてやってきた。日本のライドシェア。
タクシー会社のスポットワークではなく、非営利の割り勘型が一番日本ではフィットしそうだ。

経費が節約できて、エコなライドシェアが実現できる。
筆者はドライブが苦手なので、運転してくれれば、無料という条件で、非営利型のライドシェアを『notteco』でおこなっている。
nottecoは、2017年のグレーゾーン解消制度で合法と判断されている。

4人以上乗れるクルマに一人しか乗っていないのは、不経済だと思う。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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