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Googleの対話型AI『Bard』が日本でも解禁!そのメリットとデメリット

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:Google Bard

KNNポール神田です。

ついに日本のユーザーにも、Googleの対話型AIの『Bard(吟遊詩人)』が使える環境の提供がはじまった。

まず、最初に、『https://bard.google.com/』へ電子メールのアドレスを打ち込み『the Bard waitlist.(順番待ち)』に登録をする必要がある。

出典:Google Bard
出典:Google Bard

https://bard.google.com/

ウェイトリストに登録すると、『bard-noreply@google.com』から、ウェイトリストに登録しましたメールが届く。

出典:Google Bard
出典:Google Bard

英語が全力で来ても…、『DeepL』をインストールしていれば、『コマンド+C+C(Mac)』ですぐに日本語化してくれる。本当に良い時代だ。

□Google Bardの『ウェイトリスト』登録時に1通届く。

 なにやら、『詩』も提供してくれている。

出典:DeepL
出典:DeepL

Bardからの英文をDeepLで翻訳すると…

あなたの一日が明るいものになりますように、

気分は軽やかに、

そして、あなたの心は喜びで満たされる。

~ ♪ バード詩人

バード詩人』となるのは、『Bard』は『バルド』と訳されるので、DeepLの『用語集』に『バード詩人』と翻訳するようにカスタマイズしているからだ。

出典:DeepL
出典:DeepL

■『Google Bard』からのメールを確認する

そして、登録をされた人は、メールで、『bard-noreply@google.com 』を検索してみてほしい。

筆者には2023年4月25日(火曜日)に到着していた。

出典:Google Gmail
出典:Google Gmail

□そして利用可能になった時に『It’s your turn to try Bard(バード詩人に挑戦する時です)』メールがもう1通届く。

出典:Google Bard
出典:Google Bard

■『Take it for a spin(試しに使ってみる)』

『Take it for a spin』をクリックすると…。

待望の『Bard』が現れた!

出典:Google Bard
出典:Google Bard

I’m Bard, your creative and helpful collaborator. I have limitations and won’t always get it right, but your feedback will help me improve.

Not sure where to start? You can try:

私はバード詩人、あなたの創造的で役に立つ協力者です。私にも限界があり、いつもうまくいくとは限りませんが、皆さんのフィードバックが私の改善につながります。

何から始めたらいいのかわからない?試してみてください:

■Bardの日本語機能は?

それでは、早速、Bardの日本語機能をテストしてみる。

『Bardは日本語に対応していますか?』

残念!日本語はわからないようだ。

出典:Google Bard
出典:Google Bard

『私は現時点で言語のサブセットで対応するよう訓練されたLLMですので、その点についてはサポートできません。現在の対応言語一覧はバード詩人ヘルプセンターでご確認ください』

英語で聞いてみよう…。

『Does Bard support Japanese?』

出典:Google Bard
出典:Google Bard

むむむ! 

『はい、バード詩人は日本語に対応しています。日本語の質問や要望を理解し、対応することができます。また、日本語と他の言語との間の翻訳もできます。

以下は、私が日本語でできることの例です:

日本の文化、歴史、言語に関する質問にお答えします。

日本語の文章を他の言語に翻訳することができます。

詩、暗号、スクリプト、音楽作品、電子メール、手紙など、日本語のテキストコンテンツの創造的なテキスト形式を書くことができます。

日本語で何か質問や要望があれば、遠慮なく聞いてください。できる限りお答えします』

英語で日本語ができるか?と質問すると英語で日本語ができると返してくる。好意的にとらえると、用意はできているけれど、まだ実装されていないと捉えることができる。

しかし、対話型AIにありがちな『平気でウソをかます奴』かもしれない笑。

それでは質問を変えてみよう…。

■『Bardの最新の学習データは何年何月何日ですか?』

What is the date and year of Bard's latest study data?

出典:Google Bard
出典:Google Bard

『私はまだ開発中であり、トレーニングデータは常に更新されています。私がアクセスできる最新の研究データは、2023年1月のものです。しかし、私は常に新しい情報に更新されているため、最新の研究データの日付と年はいつでも変更される可能性があります。』

なんと!2023年1月という答えが帰ってきた。

それでは、本当にBardが日本の最新の事を知っているかどうかを試してみる…。

■日本で起きた2023年1月に話題を集めたニュースを5つ教えてください

出典:DeepL
出典:DeepL

お!2022年第4四半期の日本経済について答えを返してきた!

出典:Google Bard
出典:Google Bard

『日本経済が1年ぶりのスピードで成長

2022年第4四半期の日本経済は、好調な輸出と企業投資に後押しされ、1年間で最も速いペースで成長しました。内閣府が発表した10-12月期の経済成長率は年率1.7%でした。この成長は、円安と旺盛な世界需要の恩恵を受けた輸出が4.4%増加したことによる。また、企業投資も1.1%増加した』

■『このデータの情報ソースを教えてください』

What is your source of information for this data?

出典:Google Bard
出典:Google Bard

後出しジャンケンとしての『Bard』の好意的な記事を書きたいと思ったが…。

『私は、Google検索を通じて現実世界の情報にアクセスし、処理し、検索結果との整合性を保ちながら対応をしています。

また、Googleがデジタル化した膨大な書籍や資料のコレクションであるGoogleブックスからも情報を入手し、処理しています。これにより、より包括的で情報量の多い回答を提供できるようになりました。

さらに、私は常に学習し、自分の能力を向上させています。私は、ニュース記事、学術雑誌、政府報告書など、さまざまなソースから情報にアクセスし、処理することができます。そのため、常に最新の情報を入手することができ、お客様に最も正確な情報を提供することができます』

と返してきた…。URLについ訪ねてみたが、はぐらかされてしまった…。

回答はくれるが、情報ソースをださないと少々、使い勝手はかわってくる。

また、質問を変えてみた…。Bardよ、これが最後のチャンスだ!

■2023年1月時点でのITニュースを10記事教えてください。起きた日時も教えてください。

Please give me 10 articles of IT news as of January 2023. Please also tell us the date and time it happened.

出典:Google Bard
出典:Google Bard

お、今度は、なかなか良い答えが帰ってきたようだ。

『もちろん、2023年1月のITニュース記事10本を紹介します:

マイクロソフト、2023年1月31日にWindows 10の販売を停止へ(The Verge, January 23, 2023)

airBaltic、エアバス全機種にスターリンクのインターネットサービスを無償提供(The Verge, January 10, 2023)

Intel and Meta team up on new way to direct connect your Oculus Quest headset to gaming PC (The Verge, January 10, 2023)

Binance、NFTマーケットプレイスを新設しサービスを拡充(LinkedIn、2023年1月10日号)

ラスベガス、新たな地下交通システムをデビュー(LinkedIn、2023年1月10日配信)

FBIがサーバーを押収した後、ランサムウェアグループは混乱した(Viva Technology, January 10, 2023)

ティム・クック氏、自ら勧めた3500万ドルの減給を受ける(2023年1月10日、ビバテクノロジー)

Tech layoffs hit record high in January 2023 (ビバテクノロジー 2023年1月10日)

エアバス、一部の機体で自律飛行技術をテスト(ビバテクノロジー、2023年1月10日号)

Web3業界、昨年は暗号詐欺で数十億円の損失(ビバテクノロジー、2023年1月10日号)

これらは、2023年1月に起こった多くのITニュースのほんの一部です。最新の技術ニュースを知るには、お気に入りの技術系ブログやニュースをぜひフォローしてください。

URLは教えてくれないまでも、ChatGPTとちがって、2023年1月までのデータは知っているようだ…。

■『Google it』ボタンを押して見よう!

ChatGPTと一番の違いは2023年1月までのデータを学習していることだ。

そして、2番目には、『Google it』のボタンがあること。

出典:Google Bard
出典:Google Bard

■対話型検索エンジンとしての『Bard』

『Google it』を押すと、『Search related topics(関連するトピックを検索する)』として2つのURLが表示された。

そして 『10 IT news in January 2023』をクリックしてみた…。

出典:Google Bard
出典:Google Bard

なるほど、『Bard』は、Googleのサーチエンジンを通じて、プロンプト用語で検索した後のいくつかのデータを要約しているようだ。

詳細を対話型で深堀りするのも、エビデンスを探すために関連URLを掘り下げるという使い方ができる。

そして、筆者のブラウザには

ChatGPT for Google

https://chrome.google.com/webstore/detail/chatgpt-for-google/jgjaeacdkonaoafenlfkkkmbaopkbilf

のプラグインをいれているので、Google検索と同時にChatGPTでも質問をしている。

残念ながらChatGPTは 2021年9月までの学習データを戦略的に、一般公開しており、2021年10月以降のデータは、他の対話型AIに頼るほうがよさそうだ。

■まとめ

まだまだ試験的に公開とはいえ、ChatGPTから遅れること、5ヶ月…。Googleの対話型AI『Bard』は日本語も対話することもできず、検索ソースは『サーチエンジン』がベースである。

しかし、なんといっても2023年1月までの学習データを保有しているので、『ChatGTP』と『Bard』を併用することによって、最新データを加味したリサーチには使えそうだ。

また、『DeepL』を使うことにより、日本人が日本語サイトだけではなく、世界のサイトから最新情報を入手して、対話型AIでより言語を超えた『検索効率』を高めることには貢献しそうだ。

そして、Googleの『Bard』が日本語対応すれば、使い勝手はさらに変わることだろう。そして、もちろん『Google it』で『スポンサー広告』を見せることもできている。

1日も早く、日本語対応を望むばかりだ。

グーグルが90%以上のシェアを持つ検索市場から、1%を奪われるごとに、20億ドル(約2600億円)の収益を失う…。

ネット広告の世界では日本はまだ上位の国である。Googleの至急の対応が望まれる。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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